日本銀行が引当金4500億円を積んで、国庫納付を大幅に減らすという記事。
「日銀は将来の金融緩和の「出口」で保有国債に損失が生じる事態に備え、2015年度に初めて4500億円程度の引当金を積む。これに伴い日銀の利益が目減りし、15年度に政府に納付する金額は大幅に減少する。単年度でみれば量的・質的金融緩和(異次元緩和)のコストが国民に転嫁されることになる。」
企業会計的な意味での引当金は、決算日現在ですでに発生している事象を決算に反映するために計上されるものですが、日銀の場合は、だいぶ違うようです。
関連する記事。日銀には、債券取引損失引当金という引当金があるそうです。
日銀が引当金の拡充決定、国債利息を積み立て 15年度決算から適用(2015年11月)(ロイター)
「日銀は27日に開いた政策委員会で債券取引損失引当金の拡充にかかわる会計規程の見直しを決めた。これにより同引当金に保有国債の利息収入を積み立てることが可能となり、財務の健全性が高まることになる。2015年度決算から適用する。」
日本銀行の会計規程の「債券取引損失引当金、外国為替等取引損失引当金及び法定準備金の計上基準」という箇所をみると、実績を正確に反映させるというより、経営者の意図により恣意的に計上できるもののようです。
「第18条 債券取引損失引当金及び外国為替等取引損失引当金の積立て又は取崩し並びに法定準備金の積立ては、各上半期及び各事業年度の自己資本比率が、10%程度となることを目途として、概ね上下2%の範囲となるよう運営する。
2 (省略)
3 債券取引損失引当金及び外国為替等取引損失引当金として積み立て、又は取り崩すべき金額は、債券又は外国為替等に係る損益(規則第10条第1項の規定により計算した収益金額と同条第2項の規定により計算した損失金額の差額をいう。)の50%に相当する金額を目途として、第2項に規定する自己資本比率の水準等を勘案して定める。」
ちなみに、2015年度上半期の決算を見ると、純資産37675億円に対し、債券取引損失引当金22433億円(なぜか前期と同じ金額)が計上されています。
中央銀行の財務諸表がどうあるべきかについては、特に意見はありませんが、一般企業はまねしないでほしい考え方です。
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