会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

英国EY、利益相反の疑いで会計士協会が調査(Telegraph紙より)

Accountancy institute investigates Ernst & Young's administration of Greek telecoms company

(少しマニアックなニュースですが)英国で過去最大となるpre-pack administration(事業売却による会社整理のことを指すようです)業務において不適切な行為があったとして、英国のE&Yがイングランド・ウェールズ勅許会計士協会の調査を受けたという記事。

Accountancy chiefs are investigating allegations of improper conduct by Ernst & Young in its handling of Britain's biggest pre-pack administration.

問題となっているのは、投資家に13億ポンドもの損失が生じたギリシャの電気通信会社Wind Hellasの清算業務です。

The Institute of Chartered Accountants in England and Wales has launched an inquiry into E&Y's handling of the controversial insolvency of Greek telecoms company Wind Hellas, which cost investors £1.3bn.

会計士協会の職業倫理を担当する部門が、E&Yに対して、E&YはWind Hellasとの間で長期にわたって関係をもっていたのに、なぜ、管財人業務を引き受けたのかについて、回答を求める書簡を送っています。Maggie MillsというEYのパートナーに対するこの書簡において、会計士協会の担当者は、利益相反(a conflict of interest)があるのだから、受任すべきではなかったと指摘しています。

The institute's professional conduct department has written to E&Y questioning why it took on Wind Hellas's administration when it had a long-standing relationship with the company.

In the letter to Maggie Mills, the E&Y partner who oversaw the pre-pack, the institute's investigation manager, John Morton, said Ms Mills should have "resigned" from the appointment because of a conflict of interest.

詳しい事情はわかりませんが、以前から会社との関係があり報酬をもらっていたのだから、債権者の立場に立つべき管財人に就任することは、利益相反になるということなのでしょう。

ちなみに、日本公認会計士協会の倫理規則にも、利益相反に関して規定があります(19条)。

「会計事務所等所属の会員は、依頼人と特定の専門業務の契約を締結し、又は継続する前に、利益相反を生じさせる可能性のある状況を認識するため、必要な手順を踏まなければならない。」

「会計事務所等所属の会員は、公正性、守秘義務又は職業的専門家としての行動の原則の遵守を阻害する要因を、セーフガードを適用することにより、除去できない又はその重要性の程度を許容可能な水準にまで軽減できない場合、当該業務の契約を締結してはならない。」

利益が相反する複数の依頼人又は特定の事項について対立関係にある複数の依頼人に対し、専門業務を実施する場合にも、公正性又は守秘義務の原則の遵守に対する阻害要因を生じさせる可能性がある。」

pre-pack administrationについて
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