会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

確定申告、押印廃止へ 21年度税制改正で検討(日経より)

確定申告、押印廃止へ 21年度税制改正で検討

政府・与党が、税務手続きでの押印を原則廃止する方向だという記事。

「現在は国税通則法で納税手続きの際に必要な書類には原則、押印を求める規定がある。オンラインで国税電子申告・納税システム「e-Tax」を使えば電子署名で済むが、書類で申告するときは押印が求められる。21年度税制改正で結論を得て、法改正を検討する。

確定申告以外では財産形成貯蓄制度(財形)の届け出書などでも押印が求められている。こうした書類でも不要にする方向だ。財務省は税に関する手続きのオンライン化を加速する契機にしたい考えだ。」

一般論として、無駄なことはやめた方がいいとはいえるのですが、何かの書類にハンコを押すのは、(別の人間ではなく)本人がその書類の内容を承諾・確認したことを証明するためでしょう。実印などのように登録されているハンコならともかく、普通のハンコが押してあるからといって形式にすぎないのかもしれませんが、それでも、印鑑(あるいは署名)のあるなしは、文書偽造罪の刑罰の重さにも影響し、慣習的に偽造・変造の歯止めにもなっていると思われます。本人であることの確認を厳密にやらなくてもよい場面ではどんどん簡素化すればよいでしょうが、外部とやりとりする書類では、よく考えてから廃止すべきでしょう。

(監査の場面でも、経営者確認書とか残高確認状とかでハンコを求めることがありますが、それらも廃止していくのでしょうか。例えば、経営者確認書は経営者の「記名+押印」でもよいことになっていますが、いくら何でも、「記名」オンリーでは無意味でしょう。監査報告書は署名だけでもいいかもしれません。崩した字で署名する人もいるので、「署名+記名(ワープロ打ち)」が親切でしょう。)

デジタル化でハンコ廃止に山梨県知事の大反論
本当に目指すべき「行政のデジタル化」の本質
(東洋経済)

「では、結婚や離婚の押印はどうか。法務大臣は婚姻届や離婚届の押印も省略する意向を表明したが、結婚や離婚はほとんどの人にとって人生に一度か二度のこと。日常的に押印するわけではない。私は、人生の節目でもあるのだから省略しなくていいと思う。こういうふうに1つひとつを精査していけばいい。」

「新型コロナ禍では、自粛せずに外出する人を叩く「自粛警察」が生まれた。そういう土壌では、ややもすればハンコを造り、ハンコを使う人がいないかを監視する「ハンコ警察」が生まれやしないかと、半ば冗談だが、半分本気で心配している。「あの企業はいまだにハンコを使っている」と言われる日がくるかもしれない。」

「仮に印章産業の既得権益なるものがあるとして、それは目くじらを立てるほど巨大なものなのか。山梨の印章産業に関わる人々は「息子には継がせることができない」「私の代で終わりだ」という人ばかり。そんな状況下にある産業の規模が、皆さんが声を大にして批判するほどの権益を持っているのかどうか、よく考えてもらいたい。」
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