金融庁の企業会計審議会は、「監査基準の改訂に関する意見書」を、2009年4月10日付で公表しました。継続企業の前提に関連する規定の改訂です。
この改訂は、2009年(平成21年)3月決算に係る財務諸表の監査から実施されます。(細かい話ですが3月20日決算会社は適用なのでしょうか。)
改訂の内容については、意見書前文で以下のように述べています。
「一定の事象や状況が存在すれば直ちに継続企業の前提に関する注記を要するとともに追記情報の対象と理解される現行の規定を改め、これらの事象や状況に対する経営者の対応策等を勘案してもなお、継続企業の前提に関する重要な不確実性がある場合に、適切な注記がなされているかどうかを監査人が判断することとした。」
当サイトでも何回かふれたように、現行基準・実務でも、「重要な不確実性」が残る場合に、注記や(監査報告書への)追記が求められているわけですから、実質的に差異はないように思われますが、基準の本文において、その点を明確にしたという意味はあるのでしょう。
意見書前文によれば、中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂も検討されるようです。
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今回の改訂との関連で気になるのが、継続企業の前提を適用して財務諸表を作成することの可否について、判断基準が変わるのかどうかという点です。
継続企業の前提に関する注記や追記を行うかどうかの「重要な不確実性」の判断は、継続企業の前提を適用して財務諸表を作成することが認められる場合における判断にすぎません(他に限定事項がなければ監査意見も無限定です)。継続企業の前提を適用して財務諸表を作成すること自体の可否については、基準上変更されていないとすれば、従来どおりということになります。
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