一つ下の記事は、経産省の「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の第2回会合に関するものですが、こちらは初会合のときの記事です。こちらの方が、この委員会のやろうとしていることがはっきり書かれていると思われます。
「東京電力ホールディングス<9501.T>の広瀬直己社長は5日、経済産業省で開いた東電福島第1原発の事故処理費用に関する「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の初会合にオブザーバーとして出席した。
会議終了後、同社長は記者団に対し、同原発の廃炉費用の一括計上問題に言及、債務超過リスクを回避するため、「制度的な手当て」を求めていることを明らかにした。
同委員会の伊藤邦雄委員長(一橋大学大学院商学研究科特任教授)によると、同社長は会合で、福島原発の処理では国の支援を受けることなく、自社で責任を全うしたいとの立場を表明。また、東電によると、同社長は会議後、すべての廃炉費用の見積もりができた段階でも、「一括の債務認識の問題」が起き、同社が倒れるリスクがあると指摘。政府による制度的な回避措置を要請していると語った。」
「東電が求めている制度的な措置について、関係者の1人は、廃炉費用が明らかになった際に、東電が全額を一括して債務と認識する必要がないような枠組みだ、と説明する。」
一流の会計学者でロングセラーの会計学教科書も出している伊藤教授が、理屈に合わない「枠組み」を認めることはないと期待します。
東電が最終的に自社で負担するのであれば、目くらましの粉飾スキーム(金融庁も容認?)をからましたとしても、一括して引当てするしかないでしょう。報じられている廃炉費用額からすると少なくとも何兆円かの債務超過となるはずですが、潔く債務超過とした上で、資金繰り面では、廃炉費用の支出は一度に発生するのではなく、何十年にもわたるので、すぐに苦しくなることはないとでも発表すればよいのでは。
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第1回会合の議事要旨。
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東京電力改革・1F問題委員会(第1回)‐議事要旨(経産省)
「会計原則については、これから議論する上で、この場でも共有しておく必要がある。ベーシックな知識について共有しておいた方がいい。」という意見もあったそうですが、この発言者以外は、会計原則をあまり知らない人が委員には多いのでしょう。