会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

福島第1原発、廃炉に年数千億円必要 東電委で経産省が示す 原子力事業の分社化も(産経より)

福島第1原発、廃炉に年数千億円必要 東電委で経産省が示す 原子力事業の分社化も

経産省が東電福島第1原発の廃炉費用の見通しを大幅に増額したという記事。

「経済産業省は25日、東京電力ホールディングス(HD)の福島第1原発の廃炉に必要な資金が、現状の年間800億円から数千億円まで拡大するとの見通しを明らかにした。総額2兆円の想定を大幅に上回ることになる。」

経済産業省が行った合理的見積りでしょうから、当然、東電の第2四半期決算に織り込むべきでしょう。そうでないと、東芝などが問題にならないくらいの巨額粉飾ということになります。もちろん、現時点では、費用の正確な総額はわからないわけですが、少なくともこれくらいはかかるという確実な数字はあるはずです。

「委員会では費用の増加分を国民負担にしないため、東電に「非連続の経営改革」を求める。」

国民負担にしないということは、東電が負担するということですから、東電が損失を計上して引当てすることになります。

「同日に開いた東電の経営改善と、福島第1原発の事故処理費用の負担のあり方を検討する「東京電力改革・1F(福島第1原発)問題委員会」で示した。」

この委員会の委員長は会計学者の伊藤 邦雄教授(一橋大学)のようです。今後のことを検討するのもよいのですが、その前に、東電に正しい引当金計上を教えるべきでしょう。

東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)の設置について(経済産業省)

東京電力改革・1F問題委員会(第2回)‐配布資料(同上)

廃炉費用に関する資料は隠しているようです。

東京電力2016年3月期有報より。



見直し前の金額すら引き当てていないようです。

このままでは、東電が廃炉計画の明確化・具体化を先送りすればするほど、損失計上も先送りできるという、逆インセンティブが生じてしまいます。
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