官報(PDFファイル)
会社計算規則の一部を改正する省令(令和2年法務省令第45号)が、2020年8月12日付で公布されました。
改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等の公表を受けたものです。
以下の注記の改正や追加などが行われています(詳細は省令案のときの当サイト記事参照)。
・収益認識に関する注記(会社計算規則第115条の2第1項)
・重要な会計方針に係る事項に関する注記(会社計算規則第101条)
・注記表の区分(会社計算規則第98条第1項)
・会計上の見積りに関する注記(第102条の3の2)
また、損益計算書等の区分(会社計算規則88条)の「売上高」について、「売上高以外の名称を付すことが適当な場合には、当該名称を付した項目」としています。「以下同じ」となっているので、他の項目も明記された以外の適当な名称でもよいのでしょう。
公布の日から施行ですが、経過措置が定められています。
「「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について」という資料で、寄せられたパブリックコメントに対する法務省の考え方が示されています。省令案からの変更点についても、同資料でふれています。
注記が過重ではないかという趣旨のコメントが比較的多くあったようです。それに対する対応としては...
収益認識に関する注記(第115条の2)について
「会社法は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定しているが(同法第296条第1項),事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではない。むしろ,充実した内容の計算書類を作成するとともに適切な監査を行うことができるだけの十分な期間が確保されるように,定時株主総会の議決権の基準日や定時株主総会までのスケジュールを設定することが望ましいと考えられる。もとより,会社法及び関係省令が定める利害関係者に対する情報開示に関する規定は,定款において定時株主総会の議決権の基準日を事業年度の末日とすることを前提として「必要最低限の開示」を求めるものではない。」
こういう原則論をいいながら、後の方で腰砕けになっています。
「収益認識会計基準において具体的に規定された事項であったとしても,各株式会社の実情を踏まえ,計算書類においては当該事項の注記を要しないと合理的に判断される場合には,計算書類において当該事項について注記しないことも許容されると考えられる。」
「特に,同項第1号及び第3号に掲げる事項の注記を求めることについては,有価証券報告書を提出しなければならない株式会社以外の株式会社に過大な負担となるおそれがあるという御意見が比較的多く寄せられたこと等を踏まえ,原案を修正し,会社法第444条第3項に規定する株式会社以外の株式会社にあっては,第115条の2第1項第1号及び第3号に掲げる事項を省略することができることとした。」
第115条の2第1項の規定により注記すべき事項の範囲について
「収益認識会計基準において具体的に規定された事項であったとしても,各株式会社の実情を踏まえ,計算書類においては当該事項の注記を要しないと合理的に判断される場合には,計算書類において当該事項について注記しないことも許容されると考えられる。」
会計上の見積りに関する注記(第102条の3の2)について
「会計上の見積りの開示に関する会計基準第8項において具体的に例示された事項であったとしても,各株式会社の実情を踏まえ,計算書類においては当該事項の注記を要しないと合理的に判断される場合には,計算書類において当該事項について注記しないことも許容されると考えられる。」
「会計上の見積りに関する注記についても,会計監査人設置会社以外の会社の個別注記表には表示することを要しないこととしており(改正後の同項第1号,第2号及び第5号),本省令案は,全ての株式会社の計算書類に当該注記を求めるものではない。」
連結計算書類を作成している場合における個別注記表における会計上の見積りに関する注記の記載について
「原案の第102条の3の2を修正し,当該事業年度に係る計算書類及び連結計算書類の同条第1項第1号の項目に計上した額以外の会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報について,個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において,個別注記表にその旨を注記するときは,個別注記表における当該事項の注記を要しないこととする規定を設けることとした。」
配当できる金額を算定するためには、個別の計算書類の方が重要なわけですから、むしろ、個別の注記の方を充実すべきという考え方もあり得ると思いますが、会社法でも、連結中心で個別はおまけという方針になったのでしょうか。
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