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楽天モバイル元部長ら再逮捕、24億円詐取疑い 警視庁(日経より)

楽天モバイル元部長ら再逮捕、24億円詐取疑い 警視庁

楽天モバイル(楽天グループの子会社)の巨額横領事件で、楽天モバイルの元物流管理部長ら3人が再逮捕されたという記事。ほかの2人は、業務委託先だった「日本ロジステック」元常務と、運送会社「TRAIL」社長です。

再逮捕は「携帯電話の基地局整備を巡る業務委託費を水増し請求し、楽天モバイルから約24億円を詐取した」という容疑で、これで立件額は約49億円となったそうです。

「捜査関係者によると、楽天モバイルは業務委託契約に伴い日本ロジステックに対して2019〜21年に総額で約300億円を支払っており、うち約100億円が水増し請求だったとみられている。基地局建設に使う部材を輸送する車両の数や、保管倉庫の面積を過大に申告する手口で不正な請求を繰り返していたとみられる。

水増し請求した約100億円のうち、約50億円がS容疑者(楽天モバイル元部長)の口座や妻が代表を務める会社に還流し、不動産や高級車の購入などに充てられたという。」

前にも述べましたが、一つの取引先に支払った金額の3分の1が水増しだった(しかも大きな金額)というのは、ずさんすぎます。

知人の会社を経由させ「還流」か 楽天モバイル事件で物流会社長(Yahoo)

「捜査関係者によると、同社が日本ロジに不正に支払った費用は、TRAILのほかにも5社を経由してS容疑者側に渡る仕組みになっていた。5社のうち3社はH容疑者(「TRAIL」の社長)の知人らが経営する運送会社だった。H容疑者は周囲に「(自分が)スキームを組んでいる」と話していたといい、同課は、不正の仕組みの構築にH容疑者が深く関与していたとみている。」

ブランド品に高級車も…基地局建設100億円“水増し”か 楽天モバイル元部長ら再逮捕(テレビ朝日)(動画あり)

「楽天モバイルで仕事をしていた男性:「基地局建設に関わる部材を倉庫で預かって、工事が決まったら、そこからものを出荷する。指揮をとるのが物流管理部門。預かる倉庫が日本ロジステック。それの配送がTRAIL」

3人は、M容疑者が取締役を務めていた日本ロジステックを介して、楽天モバイルに水増し請求を行い、100億円近い水増し額のうち、約50億円が楽天モバイルのS容疑者側に渡っていたとみられます。

容疑者らは、手にしたカネで豪遊していたようです。」

テレビは「豪遊」に興味があるようです。

ところで、楽天グループ2022年12月期の内部統制報告がどうなっているのか、有価証券報告書の監査報告書(監査人は新日本)を見てみると、

「当監査法人は、楽天グループ株式会社が2022年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。」

となっていました。内部統制に開示すべき不備はなかったということです。

ついでにKAMもみてみると、この不正関連の手続きに関してはふれていませんでしたが、楽天モバイル関連の固定資産減損と繰延税金資産の手続を取り上げています。

減損の方は、会社は減損の兆候なしという判断で、監査人はその判断について、いろいろ手続きをしているようです。しかし、あれだけの大赤字を出していながら、兆候もないという判断は、相当違和感があります。兆候はあるけれども、回収可能額を見積もったら、OKだったというのならまだわかるのですが...。監査人は、兆候の有無のところでぐだぐだやるよりも、減損の兆候があるから、回収可能額を見積もりなさいと指導すべきなのでは。

繰延税金資産の方は、「税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産は220,968百万円であり、楽天モバイル株式会社の計上額がその大部分を占めている」ということで、相当危ない状況のように思われます。ただ、グループ通算制度へ移行する(現在は連結納税)とのことなので、他のもうかっている部門でカバーできるという判断なのかもしれません。

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