ソフトバンクグループが巨額の出資をしているウィーワークが、ものすごい勢いで現金を燃焼しているという記事。
「ウィーカンパニーは30日、IPOの撤回を米証券取引委員会(SEC)に申請する方針を明らかにした。上場を延期し、中核事業に専念すると説明した上で、「ウィーワークを何としても上場企業として運営する方針に変わりはない」と表明したが、上場時期については明言を避けた。」
「ウィーカンパニーの手元資金は6月末時点で25億ドル。サンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、クリス・レーン氏の分析によると、四半期で約7億ドルという現在の現金燃焼ペースが続けば、2020年1-3月期(第1四半期)以降のいずれかの時点で、同社の資金は枯渇するとみられている。サンフォードは顧客向けノートで、ウィーの成長が続くと仮定すると、2019~2022年に100億ドル近い現金が燃焼されると推測している。」
「ウィーは上場により、多額の資金を入手できると見込んでいた。だが、潜在投資家の間で事業の先行きを巡り懐疑的な見方が広がり、IPOの延期に加え、ニューマン氏と同氏の元側近2人の退場を余儀なくされた。」
「ウィーワークの社内では、巨額の損失は高成長の証しと受け止められていた。新規オフィスの開設には多額の資金を投入する必要があるため、事業拡大を停止すれば黒字化を実現できるとニューマン氏は社員に説明していたようだ。
だが、ウィーのような高成長企業でも、その損失の大きさはライバル企業や不動産業界関係者を当惑させてきた。」
「「何かがおかしい」。ハーバード大学経営大学院で不動産とベンチャーキャピタルについて教えるノリ・ジェラルド・リーツ氏は、先頃公表したウィーに関する分析でこう述べている。「同社は成長を管理できていない――まるで湯水のように資金を使っている」とし、一般管理費が余りにも急激に増えている点に言及した。
ウィーは2018年、16億ドル以上の赤字を計上した。だがリーツ氏は、同社のIPO目論見書で開示された内容は、巨額損失の裏にある根本的な問題を十分に説明していないと指摘している。」
米ウィーワークがIPO撤回、中核事業に注力し財務改善(ロイター)
「ソフトバンクグループ(9984.T)が大株主となっている同社は、長期リースで確保したオフィススペースを短期的に貸し出すビジネスモデルを展開してきたが、その収益性をめぐり投資家の懸念が高まっていた。
IPOの目論見書によると、同社の6月30日時点の現金及び現金同等物は約25億ドル。しかし、2018年には売上高が倍の18億ドル近くに増加する一方で、赤字も倍以上の19億ドルに膨らんだ。
同社は今年8月に銀行から60億ドルの融資合意を取り付けた際、IPOで少なくとも30億ドルを調達することが条件とされた。IPO撤回で、別の資金調達手段を確保する必要がある。」
コラム:ソフトバンク、ウィーワーク追加出資で損失泥沼化も(ロイター)
「無能なギャンブラーは損が出るとそれを取り返そうと賭け金を増やし、最後には茫然自失してしまう。ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長は、共用オフィス「ウィーワーク」を運営するウィーカンパニーへの追加出資によって、同じ間違いを犯す危険がある。
既に約110億ドルを投じたウィーカンパニーは、まさに「金食い虫」に他ならない。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ソフトバンクはウィーカンパニーへの追加出資額を当初合意した15億ドルから25億ドルに引き上げる方向で協議している。ソフトバンクは将来、以前の合意よりも安い価格でウィーカンパニー株を取得する権利を手に入れるという。
ウィーカンパニーの企業価値は一時の470億ドルからその5分の1に落ち込んでおり、追加出資の上積みは失敗したビジネスにさらに資金をつぎ込むように聞こえるだろう。」
ウィーカンパニーへの出資が、ソフトバンクグループ(IFRS導入済みのはず)でどういう会計処理になるのかを考えてみると、連結子会社や持分法適用でなければ、非上場であっても時価評価となるのでしょう。ただし、時価といっても、上場していれば、取引所で成立している株価が時価になるのでしょうが、非上場の場合は、さまざまなテクニックを駆使すれば、相当程度動かすことができそうです。会計監査人は、変なことをされないよう、しっかり監査すべきでしょう。KAMにもしっかり書いてほしいものです。
上場申請撤回のウィーワーク、資金繰り厳しく ソフトバンクGの支援焦点(日経)(記事冒頭のみ)
ソフトバンクの「1兆円」投資、回収に必要なWeWorkの企業価値(Forbes)
「ソフトバンクの投資が損益分岐点に達するために必要なウィーワークの企業価値は、240億ドル(約2.6兆円)であるとサンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、クリス・レーンは分析した。ソフトバンクのウィーワークへの直接出資額は、約75億ドルにのぼる。この金額は来年に予定されている追加出資の15億ドルや、既に出資済みのウィーワークの海外の子会社向けの16億ドルを除外したものだ。」
「ウィーワークは評価額を最低で100億ドルにまで引き下げて、IPOを実施しようとしたが、その後、米証券取引委員会(SEC)に上場計画の撤回を申し入れた。」
IPO目前のWeWorkが炎上中。ソフトバンクが「470億ドル」と値踏みした成長企業の“知られざる実態”(Business Insider)
「IPOブーム」に失望感=有望企業の株価低迷-米市場(時事)
「画像共有サイト運営のピンタレストなどの一部を除き、今年上場した企業の株価は総じてさえない。「景気の先行きに不安が広がる中、利益が出ていない企業が特に避けられている」(日系証券)。ただ、上場後も赤字が続いたが、その後の急成長で巨額の収益と株高を実現したインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムのような例もあり、投資家は引き続き選別眼を試される。」
アマゾンのような例があるとはいえ、不動産賃貸業の会社の巨額赤字が将来性の証だとは思えないのですが...。
ソフトバンクG、投資戦略に逆風
ウィーワーク迷走、アリババ株にも火種 揺らぐ成長企業「総取り」(日経)(記事冒頭のみ)
「SBGが最大株主であるシェアオフィス「ウィーワーク」の運営会社が上場延期に追い込まれたのに加え、米中対立激化への懸念で虎の子の資産である中国・アリババ集団の株価への下げ圧力も新たに浮上。SBGの投資戦略に逆風が強まっている。」
孫正義氏が「借金」も「赤字」も恐れない理由(Yahoo)
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