東芝の米国原子力事業巨額損失問題を取り上げた記事。
問題の会社を買収した動機は減損回避だったといっています。
「1年後に巨額の損失を生み出しかねない企業を、WHはなぜ子会社化したのか。東芝関係者は「買収しなければ、WHは2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない」と打ち明ける。
S&Wの買収当時、東芝にとって最大の懸案事項は約3500億円に達するWHの「のれん」だった。取り崩しを迫られると、粉飾で傷んだ財務が危機的状況に陥りかねなかったからだ。そのため東芝は原子力事業は「好調」だと説明し、のれん計上を正当化してきた。
だが、実態は異なっていた。WHは米国で4基の原発を建設していたが、規制強化による安全対策や工事の遅延などでコストが膨れ上がり、事前の見積もり額を超過するようになったのだ。
発注元の米電力会社はWHに超過分のコスト負担を求め、一部は訴訟に発展。工事を担当するCB&IとWHとの間でも、負担割合などを巡って争いになっていた。係争が深刻化すればWHの収益計画の見直しを迫られ、のれんの減損処理が現実味を帯びる。
WHはこうした事態を回避するために、S&Wを買収して関係を整理することにした。訴訟の和解や納期の延長を認める条件として、電力会社がS&Wの子会社化を求めていたからだ。「資産査定などの時間は限られていたが、決断せざるを得なかった」(関係者)。
東芝は結局、2016年4月にWHを含む原子力事業で約2500億円の減損損失を計上した。それが可能になったのは直前の3月に、東芝メディカルシステムズをキヤノンに約6655億円で売却できたからだ。S&Wの子会社化を通じて、東芝とWHは“時間稼ぎ”に成功したと見ることもできる。」
監査人が厳しく指導するなどして、もっと早くに減損処理していたら、危ない買収をすることもなかったのでは。
もっとも、そんなにあきらめのいい会社なら、粉飾決算もしなかったでしょう。
記事後半では、巨額損失の可能性を昨年末に公表するまでの経緯を批判的に書いています。
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