会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

キャスキッドソン「いきなりコロナ倒産」の深層(東洋経済より)

キャスキッドソン「いきなりコロナ倒産」の深層

英国の服飾雑貨ブランド「Cath Kidston」製品の販売を手掛ける、キャスキッドソンジャパンという会社の破綻を取り上げた記事。

「同社は英国キャスキッドソン・リミテッド社の100%子会社で、日本国内で44店舗を展開していた。4月22日に破産手続きの開始を申し立て、同日に破産開始決定を受けたのだが、東京商工リサーチによれば、負債総額は債権者数約400名に対し65億円にも上るという。

4月7日の緊急事態宣言発令を受け、店舗の入居先である商業施設が休業を余儀なくされ、キャッシュフローが悪化したにしても、それからわずか2週間後の破産というのはいくらなんでも早すぎる。」

親会社の破綻の影響だったようです。

「英国本社直轄の日本法人に経営が移って以降は、店舗のスクラップアンドビルドを進め、現在の店舗数は44。突然の破産申し立てに至った原因は、英国本社側の経営破綻にある。

現地メディアによれば、4月21日、日本の民事再生法にあたるアドミニストレーションの手続きに入り、英国内の60店舗を閉鎖。全従業員の97%にあたる900人を解雇したという。」

「日本法人は英国本社から商品を仕入れているため、英国本社側からすると売り掛け先だ。債権者として売掛債権を保全する意味でも、また、換金価値があるかもしれない子会社株式の資産価値を維持する意味でも、英国本社としては日本法人からの資金流出を防がなければならない。

つまり、突然の破産申し立ては、英国本社の財産を保全するために行われたものなのだ。日本法人が資金繰りに行き詰まったことが原因ではない。65億円もの負債は、英国本社からの買掛債務と従業員の給与、それに44店舗の賃料債務などの一般債務。400人の債権者の大半は従業員だ。

英国本社の経営悪化の原因は、まさにコロナ禍によるインバウンド需要の消滅。近年の英国本社は、売り上げの4割をアジアからのインバウンド需要に頼っていたという。」

海外に子会社をもつ会社の監査では、子会社監査人から、親会社においてその子会社に関する大きな動きがないかというようなことを聞いてくることがありますが、子会社自体は資金繰り等に特に問題はなくても、こういう、親会社都合で子会社をつぶしてしまうということがあるからでしょう。

外資系の会社は要注意かも...。
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