丸紅、サイバーダインの次はSMCが標的に
SMCをねらった空売りリポートと会社の対応を取り上げた記事。
リポートを出した調査会社に話を聞いています。
「リポートを発信したのは、企業の不正会計や会計上の不備を調査し、「売り」を推奨するリポートを顧客に提供するウェル・インベスメンツ・リサーチ社。2015年12月に、「巨額の減損リスク」と題し、大手商社の丸紅が減損処理を意図的に遅らせたのではないか、という疑惑を投げかかるリポートを公表した。
さらに、2016年7月には医療・介護用ロボットスーツ「HAL」を開発し、市場の注目度が高いサーバーダインに対しても「口先ばかりで成果伴わず?」と、相場の思惑よりも期待利益がかなり小さいのではないかというリポートを発表している。「証券会社のアナリストリポートは会社側に迎合的だが、われわれは独立した立場から批判的な意見をいう」(ウェル・インベストメンツ・リサーチの荒井裕樹リサーチ・ディレクター)。
同社は、公表前にファンドなどの顧客に対して下落リスクの恐れのある銘柄のリポートを提供、リポートを入手したファンドなどの投資家は空売りポジションを取り、そうした事実が表面化し、株価が下落すれば、その時点で買い戻して利益を上げることができる。
実際は、リポート公表後に市場が反応して株価が下落すればそれだけでも利益を確保することができる。さらに、「一般に入手できる情報をもとに意見を表明している。さらに根拠を提示しているので、風説の流布にはあたらない」(荒井氏)と説明する。」
しかし、リポートの内容をみると、根拠不十分なのにやたらと断定的に書いている印象があります。たしかになぜそうなっているのか聞きたいような項目もありますが、それは監査人がきちんと調べているはずで、それをたよりにするしかありません(リポートではその監査人の資質も問題にしていますが)。また、公表された財務諸表に不審な点があれば、監督当局が会社や監査人を調べているはずです。
監査人や監督当局への信頼が低いと、ますます、空売りリポートが氾濫するということかもしれません。
記事の結論部分でも以下のようにいっています。
「2016年に入り、SMCだけでなく、伊藤忠や日本電産など「空売りファンド」や「空売りリポート」から標的にされるケースが相次いでいる。こうした背景には、東芝の不正会計事件を筆頭とする日本の会計基準や決算に対する不信感があるのかもしれない。
荒井氏(このリサーチ会社のディレクター)が「厳しく監視するシステムが足りていない」と語るように、日本の会計制度に対する問題点がこうした疑念を生み出す結果となっている。会計基準を守っているだけでは、海外の投資家は満足できない状況になっているのか。」
なお、SMCをターゲットにしたきっかけについてもふれています。
「ウェル・インベストメンツ・リサーチの荒井氏は「丸紅のリポートを出したあと、SMCの会計慣行がおかしいとのメールがあり、調査を進めていった」といい、半年かけてこのリポートを完成させた。」
監督当局よりも、空売りリポート会社の方が頼りにされているのかもしれません。
会社の反論。
↓
当社の財務情報に関する一部報道について(第2報)(SMC)(PDFファイル)
空売りリポート自体はこちらからどうぞ。
↓
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