王将フードサービス社長射殺事件の捜査で、王将創業者の長男が任意で事情聴取されたという記事。
「中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が平成25年に京都市山科区の本社前で射殺された事件で、京都府警と福岡県警の合同捜査本部が、王将創業者の長男に任意で事情聴取したことが1日、捜査関係者への取材で分かった。捜査本部は、創業家が経営を担っていた時代に特定の企業グループの経営者と不適切取引をしていたことと、事件との関連性に関心を示しており、取引の実態を解明するために創業家にも事情を聴いたもようだ。」
背景は...
「(王将フードサービスの)報告書によると、同社と経営者との関係は、昭和52年ごろ、王将創業者の加藤朝雄氏の時代に始まった。長男らに代表権が移った平成6年ごろから、多くで取締役会の承認を得ずに、経営者側と不動産の購入や金銭の貸し付けが行われた。
このことを問題視した大東さんは12年の社長就任後、不適切取引の解消に乗り出した。24年からは王将内部で不適切取引について調査を進め、翌25年11月13日付で調査報告書が完成。ほとんどの役員と共有されないまま、約1カ月後に事件は起きた。」
NHKは、「当時の会社の役員」、「創業家出身の元役員ら」といっています。
餃子の王将社長射殺事件 創業家出身元役員の自宅も捜索(NHK)
「警察は、複数の当時の会社の役員から任意で話を聞き、創業家出身の元役員らの自宅を捜索するなどして、改めて事件の手がかりを探しているものとみられます。」
不適切取引の相手も調べています。
「中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が平成25年に京都市山科区の本社前で射殺された事件で、京都府警と福岡県警の合同捜査本部が、同社第三者委員会に不適切な取引を指摘された企業グループの経営者だった男性を任意で事情聴取したことが30日、捜査関係者への取材で分かった。男性は王将創業家の知人。」
2016年にも調べています。
「捜査関係者によると、京都府警は平成28年1月、事件の関係で男性が経営する企業グループの関係会社を家宅捜索し、経理書類などを押収している。」
2016年に、週刊誌がこの経営者にインタビューしています。実名も掲載されています。
「餃子の王将」社長射殺事件、“黒幕”と疑われた人物の独白 「京都府警が“犯人はあんたしかおらん”と迫ってきた」(デイリー新潮)
「前述の報告書にある未回収の金については、90年代後半の住専問題のさなか、××氏の会社も大口融資先として住宅金融債権管理機構から50億円の返済を求められており、そこに創業者の次男で財務担当専務だった欣吾氏が手を差し伸べてくれたと明かす。
〈「もう、お手上げですよ」と、電話で愚痴をこぼした。当時、社長は長男の潔さんでした。すると、2日後、欣吾さんから「それくらいだったら、うちでなんとかします」と、50億円を用立ててくれたのです。まさしく、地獄に仏とはこのことでした〉
ところがこの後、上杉氏が王将側に返済と借り入れを繰り返したこともあり、少なからず双方の言い分に食い違いが生じていったという。
〈05年の段階で、『王将』は私に対し、90億円以上を貸し付け、そのうち返済額は40数億円に過ぎないと主張してきました。経営悪化の責任を取って、潔さんも欣吾さんもすでに『王将』を去っていた。私は、潔さんのあとに社長に就いた大東さんと何度も話し合いの機会を持ちました〉
00年に4代目社長に就任した大東氏は当時、東証1部上場を目指しており、××氏側との取引を清算すべく交渉にあたっていた。上杉氏によれば、最終的に債務は約40億円であると双方が確認、和解したといい、これが約260億円にまで膨れたのは、王将の経営状態が当時火の車であり、損失の穴埋めのために押し付けられた、との考えを語っていた。」
射殺事件の捜査が難航していたとしても、背任などの経済事件として、もっと厳しく調べることはできなかったのでしょうか。また、そもそも、ガバナンスが機能していれば、不適切取引も行われず、社長が犠牲になることもなかったのでしょう。