金融庁の証券取引等監視委員会は、株式会社ディー・エル・イーに係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、同社に対する課徴金納付命令発出を勧告しました(2019年2月13日付)。
「当社は、映像(TVアニメ等)の企画・制作事業において、売上の過大計上等や、映像の製作委員会に対する当社からの出資金に係る減損損失の不計上など、不適正な会計処理を行った」、その結果、「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等を提出し、また「重要な事項につき虚偽の記載」がある発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により株券等を取得させたとされています。
対象となっているのは、平成26年3月第3四半期四半期報告書から平成30年3月第3四半期四半期報告書までと、有価証券届出書(平成26年2月20日・平成28年11月11日提出)です。
影響額は、例えば平成30年3月四半期報告書が、「売上の過大計上」、「出資金に係る減損損失の不計上」により、「連結純資産額が1,634百万円であるところを2,254百万円と記載」、「親会社株主に帰属する四半期純利益が▲117百万円であるところを39百万円と記載」などとなっています。
勧告された課徴金の金額は、1億3,540万円です。発行開示書類の虚偽記載が含まれているため、大きな金額となっています。
アニメ「鷹の爪」制作会社に課徴金 架空売り上げで粉飾、監視委勧告 (日経)
「東証1部の昇格を目指し、経営陣が主導して決算をよく見せかける不正会計を繰り返していたという。
監視委によると、DLEは制作予定のアニメが未完成でありながら前倒しで売り上げを計上していた。実体がない架空の取引で映像制作に関する売り上げを盛るなど不正会計を続けていたという。過大に計上した売上高は18年までの4年間で約23億円で有価証券報告書に虚偽の内容を記載していた。」
アニメ「鷹の爪」制作会社、粉飾決算の疑い 報告書訂正(朝日)
「同社は16年4月にマザーズから東証一部に市場を変更した。監視委は、変更の要件だった「最近2年間の経常利益の総額が5億円以上」を満たすために決算を粉飾したとみている。」
証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告及び特別損失の発生に関するお知らせ(PDFファイル)
課徴金は特別損失に計上するそうです、また課徴金以外に特別調査費用が4億円以上発生するようです。
「当該課徴金納付 135 百万円につきましては、平成 31 年6月期第2四半期(自 平成 30年7月1日 至 平成 31 年 12 月 31 日)の連結財務諸表において、課徴金引当金及び特別調査費用として、特別損失を計上する予定となります。
当社は、平成 30 年 12 月3日に公表いたしました「通期業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」及び平成 31 年1月 30 日に公表いたしました「特別損失の発生に関するお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、上記特別損失とあわせて、平成 31 年6月期の連結財務諸表及び個別財務諸表において、減損損失 21 百万円及び特別調査費用 590 百万円を計上する予定となります。」
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