11日の決算発表「できない可能性が5割より高い」(東芝幹部)
東芝が3回目の決算発表延期となるというロイター記事を先日紹介しましたが、後追いの記事がいくつか出てきたようです。(日経にはまだ出ていません。)
「東芝が、11日に予定している2016年4―12月期連結決算の発表を延期する可能性が出てきた。延期すれば3回目となる。米原子力発電事業の巨額損失問題を巡り、監査法人が15年度以前の決算について調査する意向を示しており、期限までに承認を得られない公算が大きくなっているためだ。東芝への会計不信は深刻化しており、上場廃止のリスクも高まっている。
東芝幹部は11日の決算発表について「できない可能性が5割より高い。できない前提で準備する」と語った。」
「東芝の決算の監査は、16年度からPwCあらた監査法人が担っている。PwCあらたは米国でWHの内部統制問題に加え、担当前の15年度以前の決算にも巨額損失に関連する問題がないか調査する意向を示している。特にWHが原発建設会社の米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収した15年度の決算について疑問視している模様だ。」
監査人交代が発表されてから1年が経過し、実際の交代時から数えても9ヶ月もたっているのに、今さら何をやっているのだろうと思いますが、巨額損失の話が急に出てきたので、仕方がないのでしょう。
今のところ、過年度決算を調べているというだけで、実際に過年度決算の訂正があるかどうかはわかりませんが、もし、大きな訂正があれば、そのことだけで上場廃止の理由になりそうです。
東芝、決算発表を3回目の延期か(日本テレビ)(動画あり)
東芝が4営業日ぶり反落、3度目の決算発表延期観測に警戒感(会社四季報)
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「...國部頭取が問題視したのは、東芝が決算発表を2度も延期する事態に陥っていること。記者から「東芝側の説明に納得されているか」と聞かれると、
「1日も早く決算を公表していただきたい」「信頼回復にぜひ努めていただきたい」
と、東芝経営陣に釘をさすかのように、怒りをぶちまけたのである。」
東芝株が急落、3つの上場廃止リスク-決算延期、内部管理、債務超過(ブルームバーグ)
「東芝の決算発表の期限は4月11日。すでに2度延期している。エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、市場は「3回目はネガティブという感じになっている」と述べた。企業は何度でも延期申請できるが、財務省(東芝の場合は関東財務局)に認められなければ開示できず、上場会社の開示規則(上場廃止)に抵触する。」
財務局が上場廃止の引き金を引くのでしょうか。
「三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本武郎シニアアナリストは、2期連続の債務超過(上場廃止基準に抵触)となる可能性を指摘。仮に16年3月期以前に米原発子会社の「事業環境悪化」に伴う数千億円の損失リスクを認識していたとすれば、今期だけでなく16年3月期も債務超過に陥っていた公算があるとした。」
大きな過年度訂正をやると、たちまち上場廃止が確定してしまうおそれがあるということでしょう。しかし、正式に過年度訂正(軽微なものを除く)をやる場合には、前任監査人(新日本)に再監査をやってもらわなければなりません。ある程度時間がかかるでしょう。新日本とあらたの意見不一致(例えば訂正の要否について)で先に進まないということも考えられます。また、新日本は株主代表訴訟により東芝から訴えられており、利益相反のため、監査契約を引き受けられない可能性もあります。(そのために時間稼ぎをやっている?)
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