機関投資家は日本のコーポレート・ガバナンスに満足していないという調査を取り上げた記事。
「経済産業省が主導した伊藤リポート取りまとめメンバーの1人で、エーザイの常務執行役・最高財務責任者(CFO)と早稲田大学大学院講師を務める柳良平氏が行った調査では、国内外機関投資家の4分の3は日本のコーポレートガバナンスに満足していないという。満足度は14年の13%から15年初めに29%へ上昇した後、ことし1月末時点では23%に低下した。調査対象とした内外機関投資家の運用資産合計はおよそ100兆円。
柳氏は3日、ブルームバーグのインタビューで、上場企業各社が直近のコーポレートガバナンス報告書を出し切ったところで「世界の投資家はディスアポイント(失望)している」と指摘。株価の急落も心理的な影響を及ぼしているが、海外投資家からすれば、「実質的な改善が遅過ぎる。『サブスタンス・オーバー・フォーム(形式より実質重視)』のはずが、『フォーム・オーバー・サブスタンス(実質より形式重視)』になっている」と話した。」
その背景は...
「柳氏は、日本企業のROE水準がなお低い現状について、経営者の9割が自社の株主資本コストがいくらなのかを知らないことが障壁の一つになっている、と分析。企業は株主資本コストからROEを引いた「エクイティ・スプレッド」を明確化し、企業価値を創造できているかどうかを決算短信などで示すべきとの考えだ。東京証券取引所に対しても、エクイティ・スプレッド表記の義務化を提案したが、導入には至っていない。」
「日本企業のコンプライアンス能力は高いように見えるが、柳氏は「リップサービスが多い。ROEの目標を掲げる会社は増えてきたが、なぜROEが重要なのか、資本コストが何かを知らない」と指摘。実質的な改善がみられない、あるいは遅いため、海外投資家は「慎重、懐疑的な認識になっている」とし、同氏も改革への期待後退に「危機感を抱いている」と言う。」
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