日本公認会計士協会は、倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正と、新設された倫理規則研究文書第1号「倫理規則に基づく報酬関連情報の開示に関するQ&A(研究文書)」を、2023年9月7日付で公表しました。
「2022年7月25日改正の倫理規則において、会計事務所等は、監査業務の依頼人が社会的影響度の高い事業体である場合、報酬関連情報に関する透明性の確保の観点から、監査役等とのコミュニケーションとともに、依頼人又は会計事務所等による報酬関連情報の開示が求められています。本件は、会計事務所等が改正倫理規則に基づいて報酬関連情報の集計、算定及び開示を行う際の実務上の参考となる考え方を示すために、倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」について所要の見直しを行うとともに、新たな研究文書の公表を行うものです。」
「倫理規則に基づく報酬関連情報の開示に関するQ&A(研究文書)」の内容は...
(目次より)
クライアントが集計した数値と監査人側が集計した数値が不一致の場合、面倒なことになりそうですが...
「...「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関する Q&A(実務ガイダンス)」(以下「倫理規則に関する Q&A」という。)」では、依頼人と会計事務所等のそれぞれが法令等又は倫理規則に基づく開示のために報酬に関する情報を集計し、算定する際、報酬の集計範囲や算定プロセスの相違等により、両者が集計した報酬に関する情報の間に差分が生じることがあるとされている。これらの情報は、いずれも同一の会計事務所等及びネットワーク・ファームに係る報酬に関する情報であるため、依頼人の監査役等を含む利害関係者に対して会計事務所等の独立性の評価に関連すると合理的に考えられる情報を整合的に提供する観点から、会計事務所等が、依頼人による会計事務所等及びネットワーク・ファームに対する報酬の集計範囲や算定プロセスの合理性を理解し、依頼人が算定した報酬に関する情報と倫理規則に基づく報酬関連情報との差分について分析し、依頼人と調整することにより双方の情報が一致する場合には、依頼人が算定した報酬に関する情報を、倫理規則R410.31項に基づく報酬関連情報として取り扱うことができるものと考えられるとされている(倫理規則に関する Q&A Q410-13-1 参照)。そのためにも、会計事務所等は、監査業務の初期段階において、依頼人の経営者又は監査役等と、報酬関連情報の集計範囲や算定プロセスについて十分協議するとともに、集計範囲等に影響する事象が生じた場合には、速やかに倫理規則の遵守に影響を与える情報を入手できるよう、依頼人と合意しておくことが考えられる。」(「倫理規則に基づく報酬関連情報の開示に関する Q&A(研究文書)」「はじめに」より)
なお、コメント対応表によると、草案に対して寄せられたコメントを反映した変更がかなりあるようです。