会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

内部通報制度が形骸化、上場企業の利用は年0―5回にとどまる(日刊工業より)

内部通報制度が形骸化、上場企業の利用は年0―5回にとどまる

あの東芝に監査法人対策を指南していた)デロイトトーマツの調査によると、企業の内部通報制度の利用は低調だという記事。

「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(東京都千代田区)がまとめた「企業の不正リスク調査白書」によると、9割以上の企業が内部通報制度や不正防止ポリシーを策定しているにもかかわらず、半数以上の企業で内部通報の平均利用件数が年0―5回にとどまっていることが明らかになった。制度の形骸化とも取れる結果で、「仏作って魂入れずだ」(八田進二青山学院大学名誉教授)と専門家は指摘する。」

企業の不正リスク調査白書
Japan Fraud Survey 2018-2020
(デロイトトーマツ)

サマリーより。

「内部監査や法務・コンプライアンス部門の理解や協力は十分であるが、営業・サービス、製造、研究開発部門への浸透が課題である。」

「過去3年間で不正事例あり」は46.5% であり、親会社、国内・海外関係会社で幅広く発生している。」

「不正による損失は1000万円未満が大半である。不適切な会計処理の平均金額は3.81億円と高額である。」

多くの不正事実は重要性を理由に公表されない。是正措置は懲戒、予防・発見措置が多い。」

経営者が対峙すべき不正は、会計不正と情報漏洩と認識されており、自社での発生有無(横領が多い)とは異なる。」

「不正の発生に伴うコストは平均8.26億円であり、電気機器・情報通信業では18.72億円と高額である。」

「不正を発見・発覚させるべきルートの本流は、「内部通報」と「内部監査」である。」

「不正調査は、内部でインタビューやメールレビューを実施する。業務・ルールの変更・周知や懲戒処分で是正を図る。」

「内部通報制度の設置や不正防止ポリシー制定の実施率は高いが、不正リスクを念頭においた人事、リスク評価、意識調査は不十分である。」

「不正リスク対策は企業風土とも関連しており、問題指摘を奨励する風土は重要である。」

内部通報の年間平均回数は15.6回。ただし、制度が十分に機能しているとはいえない。」

「内部通報の課題は、周知、多言語対応、風土にある。内部監査の課題は、手口対応と兆候把握にある。」

「海外関係会社には相互けん制等で対応している。海外で大きな不正を起こした企業は、事業報告や方針のレビューが重要である。」
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