東芝が延期された第3四半期決算の発表期限を4月11日に迎えるという記事。まだ監査法人と調整中とのことです。
「監査法人が問題視するのは、当時のWH幹部が米原発事業の損失を実態より少なくするよう部下に過度な圧力をかけたという内部統制の不備だ。監査法人はWHに絡む会計処理が適切だったかどうか過去にさかのぼって調査する必要があると指摘。WHが損失の可能性を以前から認識していたかが焦点になる。
関係者によると、監査法人は過去の決算も見直すべきだと指摘、東芝は適切に処理してきたと主張しているという。」
決算発表や財務局への書類の提出のぎりぎりまで監査人がチェックをかけるということは、ほかの会社でもあり得ることですが、その場合でも、決算の大方針は事前に調整済みで固まっているのがほどんどでしょう。過年度決算の見直しの要否という基本的な方針すら固まっていないとすれば、期限どおりの決算発表、四半期報告書提出は難しいように思われます。
ただし、会社のサイトを見る限りでは、発表の延期などについて、プレスリリースは出ていない模様です(10日現在)。
「適正」なくても決算報告=東芝、再々延期回避へ調整-監査意見、一部限定も(時事)
こちらは、強行突破説です。
「東芝は10日、2016年4~12月期決算について、監査法人から「適正」との意見が得られない場合、一部を適正とする「限定的な意見表明」や監査意見を表明しない「不表明」で、報告書を関東財務局に提出する方向で調整に入った。」
監査人の四半期レビュー手続未済による「限定付」や「不表明」なら、会社として監査人の見解を否定しているわけではないので、選択肢としてあり得るかもしれません。しかし、産経記事でいっているような過年度訂正の要否が論点であるとすると、会計処理に関する監査人との意見の相違ということになり、監査人との対立が表面化することになります。監査契約自体の継続も難しくなるかもしれません。そもそも、監査人のお墨付きがない決算を承認する覚悟が取締役会にあるのかどうか...。トーマツ出身の監査委員長はどのように考えているのでしょうか。
東芝、11日決算発表で調整 3度目の延期回避の意向(朝日)(記事前半のみ)
「決算に対して監査法人による「適正意見」がつかない場合でも、発表に踏み切る構えだ。」
「監査法人側は、WH経営陣がかなり前から巨額損失の可能性を認識していたのではないかとみて、より詳しい調査を東芝に要求。これに対して東芝は、「WH経営陣が事前に損失を認識していた証拠はない」と判断した。
両者の相違は大きいとみられる。監査法人側が納得しない場合、決算は監査法人の「適正意見」がないままでの発表となる見通しだ。」
延期東芝決算、11日期限…監査法人承認に時間(読売)(記事前半のみ)
「前例のない3度目の延期や上場廃止という事態を避けるため、監査法人の承認が得られなくても決算を報告する可能性も浮上している。」
不表明や不適正だと上場廃止につながります。上場廃止回避策にはなりません。
東芝、11日の監査法人承認の決算発表は困難な情勢=関係筋(ロイター)
「関係筋によると、東芝の米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)による米破産法11条の適用申請を受け、監査を請け負っているPwCあらた監査法人が2015年度にさかのぼって決算を精査する必要があるとの認識を示している。過年度の決算修正は作業が膨大になるため、11日までにはまとまらない可能性が高くなっている。
東芝はPwCの主張を受けて、決算発表の延期申請を断念し、監査法人の承認がない不表明決算の発表もやむなしとの姿勢に傾きつつある。...」
難航している理由が、媒体によって微妙に違っています。どれが正しいのでしょう。
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