仮想通貨の会計ルールについて取り上げた短い解説記事。
前半は企業会計基準委員会における検討状況の解説ですが、後半では、仮想通貨の時価変動が実際に大きな影響を与えた例を紹介しています。
「ところで、仮想通貨を多く保有する企業を買収する際に、仮想通貨の価格変動がその企業価値に大きな影響を与える事態も生じ得るようになってきた。実際、ソフトバンクが2017年2月に買収を決めた資産運用会社フォーレスト・インベストメントでそのようなことが起こっている。以下では報道(注4)に従って、その経緯を見ていきたい。
ソフトバンクがフォーレスト・インベストメントの買収を決めた時点で、その金額は33億ドルであった。フォーレストは巨額のビットコインを保有していたが、ソフトバンクはその時点でビットコインの資産価値をゼロとしていたという。
フォーレストは、2014年、2015年にビットコインの価格が急落した際に、減損処理を行い、その後に帳簿に計上されたビットコインの資産額が590万ドルであった。2017年2月の買収決定時の資産額は、当時のビットコインの価格から計算すると約2,200万ドルになっていたという。さらにその後もビットコインの価格は急騰したことから、1ビットコイン=6,600ドル見当で計算すると、現在のフォーレストのビットコイン資産額は、1億4,200万ドルに達するという。これは、買収決定時の買収金額と比べて4%以上も買収先の企業価値が高まったことを意味する。」
ASBJが検討しているように、時価評価だとすると、買収時の買収価格配分においては、仮想通貨をその時点の時価で評価した上で、その後の時価変動は損益計算書に計上するということになるのでしょう。
こちらは海外における規制の話です。
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仮想通貨は「有価証券」か? ~米国SECによるICOの規制~(野村総研)
「米国では、証券取引委員会(以下「SEC」という。)が、仮想通貨が証券法の規制対象となる「有価証券」に該当する場合があるという見解を明らかにしている。これは2016年6月に発生したThe DAOと呼ばれるイーサリアム上のプロジェクトに対するサイバー攻撃事件に関する調査報告書で示されたもので、The DAOが行ったトークン通貨の発行は、連邦証券法の規制を受ける「有価証券」の一つである「投資契約(investment contract)」締結の申込みであったと判断したのである(注1)。」
そもそもバブルだという見方もあります。
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分裂直前のビットコインは18世紀英国の「南海バブル」そっくりだ(DOL)
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