会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

これほどまでとは…トランプ政権の「“多様性”への攻撃」、その凄まじすぎる実態(現代ビジネスより)

これほどまでとは…トランプ政権の「“多様性”への攻撃」、その凄まじすぎる実態

トランプ政権がなぜ「多様性」を攻撃するのかなどを解説した記事。

60年も前の1964年の公民権法で差別が禁止されたのですが、「多様性」が重視されるようになったのは、最近のことのようです。

「差別も問題だが、本当に能力がある多様な人を雇用しなければ、社会にとっても不利益だということになり、2010年代に入るとDEIを経営理念に取り入れる企業が増え始めた。多様性がある企業はそうでない企業に比べ、収益が高いという数字もその後押しになった。

しかしこの時点でも、DEIについて一般にはほとんど知られていなかった。

さらに多くの企業がDEIに注目したきっかけは、2020年の白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドの殺害事件だ。ブラックライブスマター運動が燃え上がり、世間の批判をかわすためにDEIを取り入れる企業も激増した。その直後に誕生したバイデン政権は、人種の面でもジェンダーの面でも史上最も多様なメンバーを登用した政権となった。」

それに対して共和党の方は...

「保守共和党の支持者は8割が白人、しかも年長者が多い。このまま非白人が増え、いずれ白人がマイノリティになれば党の存続自体が厳しくなる。

そこでまず共和党が注目したのは、ふだんあまり投票しない労働者階級の白人層だった。2016年の大統領選で、共和党が、中西部ラストベルトの白人労働者の不満や怒りを喚起し、票につなげたことはよく知られている。

ところがその後ジョージ・フロイド事件が起こり、多くの若いZ世代の白人が自分たちは人種的な意味で「特権」をもっているという事実に目覚めた。黒人とともにブラックライブスマター運動を推し進めた彼らは、自らを「ウォーク(目覚めた者)」と呼んだ。その年トランプはバイデンに敗れた。

しかし共和党はその「ウォーク」を逆に利用した。ウォークが白人に対する逆差別で、社会を分断させているというメッセージを強く打ち出して大反撃に転じたのだ。」

企業もターゲットに...

「2023年に長く続いたアファーマティブ・アクション(人種を意識した入学プログラム)が最高裁判所により違憲と判断されると、企業のDEIも「ウォーク資本主義」としてターゲットになった。

保守派は何か問題が起きると、その原因をDEIに求める論調を煽るようになった。」

「トランプ大統領は就任と同時に、連邦政府の雇用におけるDEIを禁止した。特定の層を優遇することで、それ以外の層を逆差別し、社会の分断を促進するというのがその理由だ。今後は肌の色や性別にかかわらず実力主義で採用する「カラーブラインド」社会を目指すという。

実はこれは1965年にジョンソン元大統領が発令した、雇用機会均等の撤廃でもある。連邦政府とその下請け業者は、労働者を人種や性別で差別することはできないという、公民権運動時代の大統領令の廃止は、60年間続いた政府の方針の歴史的な大転換となった。」

「彼(トランプ)は飛行機事故での発言に対しレポーターに「DEIが原因という根拠はあるのか?」と聞かれ、「自分には常識があるから」と答えた。

その答えには「白人男性が優れているのは常識だろう」というニュアンスが含まれている。他人種や女性に対する明らかな差別意識を嗅ぎ取った者も多い。

実際共和党の中には「少数の優れた白人がアメリカを支配すべきだ」という、非主流派の過激な意見が根強く残っている。」

こちらは、気候変動問題へのトランプ政権の対応についての記事。

パリ協定脱退でも脱炭素市場は死守、トランプ政権が貫く米国第一(日経エネルギー)

「バイデン前大統領は2021年1月に就任すると、パリ協定に即日復帰したため、離脱期間は約3カ月と短く、実質的な影響はなかった。だが今回の離脱は、前回に比べて広範囲に影響を及ぼしそうだ。国連に通告後、離脱が実現するのは1年後とみられ、大統領の任期を3年残しての離脱となる。

 さらにトランプ政権は、パリ協定にとどまらず、気候変動枠組み条約自体から離脱する可能性もある。条約から離脱すると、4年後に仮に民主党が政権を奪取したとしても、簡単には復帰できない。パリ協定は大統領権限で参加や離脱を決定できるが、条約の批准には上院議員の3分の2の賛成が必要なためだ。就任初日は条約脱退までは踏み込まなかったが、可能性は残る。」

「産業戦略アナリストの大串康彦氏は、「トランプ大統領の考え方は非常に明快で、アメリカファースト(米国第一)とMAGA(Make America Great Again)に合致しないものはやらない、国益にならないことにお金は使わないというものだ。言い換えると、気候危機は米国民にとって脅威ではない、気候変動対策は国益に合わないというのがトランプ氏の判断」という。」

しかし、クリーンエネルギー関連の投資支援策は変わらないだろうとのことです。

「IRAは10年間で3910億ドル(約45兆円)をクリーンエネルギー関連に投じるという超大型の支援策だ。具体的には太陽光パネルや蓄電池などの工場や蓄電池リサイクル拠点の新設、再エネ・蓄電池関連のプロジェクトを支援する。

IRAがスタートしてからというもの、米国のクリーンエネルギー関連投資は凄まじい勢いを見せている。太陽光パネルや蓄電池の製造拠点、蓄電池リサイクルやリユース拠点も続々と増えている。また、再エネによる発電所や大型の系統用蓄電池プロジェクトも次々と動き出している(「米国はインフレ抑制法でアジア勢を猛追、蓄電池シェア奪取なるか」参照)。

IRAによる脱炭素化を進める再エネや蓄電池といった設備の国内導入や製造に関しては変更なしとみて間違いないだろう。」

「パリ協定から脱退し、規制対応としての気候変動対策から手を引こうとしているが、世界の脱炭素への潮流が止まるわけではない。環境規制とは離れたところで、MAGAやアメリカファーストを実現するために、再エネや蓄電池の製造や導入支援は続く。」

もともとアメリカはそういう国なのだという論説記事。

「トランプ再び」を機にアメリカ信仰からの脱却を
「グローバル化の終わり」の先にある2つの方向
(東洋経済)

「最初に指摘したいのは、トランプ政権とは、アメリカという国ないし社会の実質的な理念や価値観をストレートに体現する存在であるという点だ。ここでいうアメリカの理念や価値観とは、

①市場主義(ないし小さな政府)
②限りない拡大・成長志向
③環境・福祉への無関心
④「強さ(パワー)」への信仰
といったベクトルに集約される思考様式を指している。」

「アメリカという国ないし社会が全体として、あるいは他の先進諸国(とりわけヨーロッパ)との比較において、①~④の志向がきわめて強い社会であることは確かであり――それは社会保障システムのあり方や環境政策、経済格差の大きさ等に如実に示されている――、こうした意味において、トランプ政権はもっとも「アメリカらしい」思考様式をもった、あるいはアメリカという社会の特質をもっとも“純粋”に反映した政権と言えるのである。」

「以上の点を踏まえて私がまず主張したいのは、日本あるいは日本人の中になお残る、“アメリカはすばらしい国である”といった認識――「アメリカ信仰」と呼びうる思考回路――からそろそろ卒業すべきという点だ。」

「多くの人々にとっては意外な点かと思われるが、健康に関する基本的な指標である平均寿命を見た場合、アメリカのそれは78.5歳で、先進諸国の中でもっとも短く、世界全体の中でも40位で、これはチリ(80.7歳、31位)やペルー(79.9歳、32位)、コロンビア(79.3歳、34位)等よりも低い水準なのである(WHO, World Health Statistics 2022)。

もちろん寿命の長短ということが社会の良し悪しを判断する絶対的な基準とは言えないが、ある国ないし社会、あるいはそこでの人々の豊かさや「生活の質」を評価する際の、重要度の高い指標の1つであることは確かだろう。」

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