学校法人明浄学院の巨額横領事件に関連して社長が逮捕されたプレサンスコーポレーションが記者会見を開き、社長の交代と外部経営改革委員会の設置を発表したという記事。
「学校法人明浄学院(大阪府熊取町)の資金21億円を元理事長らが着服したとされる事件で、地場不動産大手プレサンスコーポレーション(大阪市)は23日、大阪地検特捜部に業務上横領容疑で逮捕された社長のY容疑者(56)が同日付で辞任し、後任に土井豊副社長(51)が就いたと発表した。」
前社長は、逮捕前の社内調査で横領への関与を否定していたそうです。
「土井氏によると、Y容疑者は逮捕前、土井氏に対し「18億円は高校の移転費用などとしてティー社を通じて学校に貸し、学校から返済を受けたつもりだった」と説明し、横領への関与を否定したという。
高校の土地については、取得予定だった不動産会社からプレ社が買い取る契約を結んでおり、手付金もプレ社が出していたが、元々は大阪府吹田市の不動産会社「サン企画」のI容疑者(70)=同容疑で逮捕=らから同社に話が持ち込まれた案件で、Y容疑者がこの購入契約を決裁していたという。」
前社長の説明で、一応つじつまは合っています。18億円が、別の不動産会社や元理事長らを経由して学校法人に貸し付けられたと認識していたのであれば、プレサンスが学校法人に手付金を支払った直後に、貸付けが回収されても不思議ではありません。しかし、18億円も貸し付けておいて、それが実際に学校法人へ流れ、学校法人の借入金となっているかどうかは、確かめることができたはずで、元理事長らの行為をまったく知らなかったというのも不自然です。まだまだわからないことだらけのようです。
前社長の18億円貸し付け「把握せず」 プレサンス会見(日経)
「18億円は、O容疑者が学院の経営権を握るための原資に使われたとされる。土井豊新社長は会見で「会社として支出した事実はない」と説明。その上で「捜査には全面的に協力する」とし、弁護士3人で構成する「外部経営改革委員会」で会社としても問題の調査などに当たるとした。」
プレサンスコーポレーションのプレスリリース。
代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ(PDFファイル)
「当社代表取締役社長の山岸 忍より、取締役を辞任したい旨の申し出があり、これを受理いたしました。これに伴い、本日開催の取締役会において、2019 年 12 月 23 日付で当社代表取締役副社長である土井 豊を代表取締役社長に選任する旨の決議を実施いたしました。 」
外部経営改革委員会設置に関するお知らせ(PDFファイル)
「報道によれば、当社が土地売買に際して支払った手付金が元理事長らによって横領されたとのことであり、当社元社長も当該横領に関与したとされています。当社は、当社が関係した土地売買において横領が行われ、かつ当社元社長が当該横領に関与したとして逮捕された事実を真摯に受け止め、当社におけるガバナンス上の問題点につき調査・検証し、ガバナンス体制を改革する必要があると判断し、本日、当社と利害関係を有しない外部の専門家から構成される、外部経営改革委員会を設置いたしましたのでお知らせします。」
委員会のメンバーは弁護士だけで、会計士は入っていません。前社長が会社の土地取得に裏で関わっていたのだとしたら、関連当事者取引などの問題もあり、会計処理や開示についても、外部会計士に調べさせるべきでしょう。次の四半期決算確定(来年2月)をスケジュールどおり行うためにも、会計面での調査が必要です(今のままでは会計監査人はあぶなくてレビュー報告書を出せないはず)。もっとも、資料や関係者を検察が押さえていて、調べようがないかもしれませんが...。
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