会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について(日本商工会議所)

平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について

少し古いニュースですが、日商簿記の出題範囲が平成28年度から何年かかけて大きく変わるそうです。具体的には、連結会計の基礎的な部分を2級に持ってくるなど、2級の試験範囲が相当見直されるようです。

「この度の平成28年度以降に向けた改定では、企業会計に関連する諸制度の変更に的確に対応するのに加え、一般的な企業における近年のビジネススタイルや会計実務の動向を踏まえ、検定試験がより実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるよう区分表を見直し、出題項目の一部修正または追加等を行いました(「工業簿記・原価計算」の改定はありません)。」

こちらの資料に詳しく改定内容が示されています。

商工会議所簿記検定試験出題区分表の改定等について(PDFファイル)

見直し内容は・・・

「普通仕訳帳を分割した特殊仕訳帳制は検定試験の範囲から除外」

クレジット取引は、これまで検定試験で出題されることはなかったが、現実にはクレジット・カードの普及に伴い、多くの企業で浸透しており、今回実務に即してクレジット取引を試験範囲に追加した。」

「従来から荷為替手形は2級において度々出題されてきたが、決済・輸送手段の発達などにより海外との取引を除いて、遠隔地間の取引であっても荷為替が取り組まれるケースがほとんどみられなくなっており、そのような現実を考慮して、2級の出題範囲から削除することとした。」

「1級の「電子記録債権・電子記録債務」を2級に移行した。」

「実務では損益管理の観点から商品を仕入れた段階では商品勘定に記入し、販売を行った時点において、そのつど商品勘定から売上原価を売上原価勘定に振り替えることが一般的になっている。・・・このような現実を考慮して、ア.分記法やイ.3分(割)法による商品売買取引の記帳に加えて、商品売買について販売のつど売上原価勘定に振り替える方法や月次での処理にもとづいた出題もありうることを明示した・・・。」

特殊商品売買は、従前より2級においてしばしば出題されてきたが、一部のものを除き現在の実務ではあまり用いられていないため相対的な重要性は低下しており、検定試験と実務とが乖離してしまっているという指摘が学会などでなされているところである。そのため、今般の改定では特殊商品売買を2級から一括して削除した。」

「2級の範囲に「(a)有形固定資産の割賦購入(利息部分を区分する場合には定額法に限る)」および「(b)圧縮記帳※☆(2級では国庫補助金・工事負担金を直接控除方式により記帳する場合に限る」を追加」

リース取引は、従来すべて1級の範囲とされてきたが、リース取引を用いた設備投資は業種・規模を問わず広く一般化していることを背景に「中小企業の会計に関する基本要領」においても取り上げられている。そのため、借手側の処理でかつ、利子込み法または利子抜き法によった場合は定額法に限定し、問題文での指示にもとづいて受験者が容易に答えることができるよう配慮する代わりに、2級の段階から学習しておくのが適当であると判断し、移行することした。」

外貨建取引はもはや一部の大企業に限ったものではないことを背景に「中小企業の会計に関する基本要領」においても言及がなされていることを踏まえ、今回の見直しでは仕入れや売上げなど企業の営業活動に関連する取引に限って2級の出題範囲に移行することにした。」

「2級の範囲に「収益・費用の認識基準(引渡基準、出荷基準など)、役務収益・役務費用」・・・を追加」

「2級の範囲に括弧書きで「課税所得の算定方法を含む✩」を追加」

税効果会計は、会計上の利益計算と税務上の所得計算との間で生じた一時的な差異を調整するための会計上の手続きであるが、従来はすべて1級の出題範囲とされてきた。・・・今回の「区分表」の改定では、簡易なものに限ったうえで2級以上で出題することとした。」

「「未達事項の整理」および「内部利益の除去」を(2級の)範囲から除外」

連結会計は、従来すべて1級の出題範囲とされてきた。しかし、連結重視のディスクロージャーの制度は広く定着しており、親会社単体の個別財務諸表のディスクロージャーは簡素化の方向にすらある。また、いわゆる持株会社の解禁や、会社法においても連結計算書類の制度が導入されているほか、税法においても連結納税やいわゆるグループ法人税制など、企業集団を対象とした諸制度の整備が進んでいる。さらに、企業経営自体、グループ全体を視野に入れた経営判断を行う連結経営が加速しており、株式交換や会社分割、あるいは事業分離など組織再編が活発になっている。このようなグループ全体での経営管理のニーズは大企業のみならず中小企業においても顕著になっていくものと予想される。こうした実社会の潮流に適合するために、2級の段階でもある程度の連結会計について習熟しておくことが望ましいと判断し、2級以上の出題とした。」

日商簿記2級をあまりばかにできなくなりそうです。
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