りそな「抜本策なく」公的資金 調査委検証明らかに 社史発刊、監査法人との攻防も詳述(記事冒頭のみ)
りそなホールディングスが社史を公表したという記事。
2003年の公的資金注入を起点として、銀行のあゆみをふりかえったものだそうです。繰延税金資産の回収可能性をめぐる新日本監査法人との攻防についてもふれているようです。
「りそなホールディングスは19日、グループの発足後初となる社史を発刊した。一般的には企業の創立日から数えた節目の年に刊行するが、今回は公的資金注入と実質国有化が決まった2003年5月を起点に前後のあゆみを振り返った。公的資金注入に至った原因を究明しようと立ち上げた調査委員会による検証の結果が今回初めて明らかになった。」
繰延税金資産取り崩しの過程も詳しく述べているそうです。
「社史によれば、03年3月期決算の会計処理をめぐる新日本監査法人との協議は 4月に本格化した。銀行側は02年3月期とほぼ同額である約7000億円の計上を主張したのに対し、監査法人は3期続けて赤字だった状況を踏まえて2700億円の減額を要求。監査法 人の方針に従えば、りそな銀行の自己資本比率は国内基準行の4%を割り込み、公的資金注入の申請に追い込まれる。
連休明けの5月6日に監査法人がりそなホールディングスの勝田泰久社長(当時)に繰り延べ税金資産の減額を通告。勝田氏は反発したが、10日に自己資本比率の低下に備えた極秘裏の検討を始めていたという。14日夜には監査法人の見解を受け入れる方針が決まった。」
社史『りそなグループ 20年のあゆみ-変革への挑戦-』の発刊について(りそなホールディングス)
新日本との攻防は、第1章の「第2節 2003年3月期決算の悪化から「りそなショック」へ」に書かれています。ちょうど、小泉・竹中の時期でした。
そもそも、税効果会計基準自体が、不良債権問題との関係が深い基準だと思われます。最初は、たしか、連結に税効果を導入するということだったのが、連結のみ適用では、不良債権問題(会計的には銀行の貸倒引当金(ほとんどが有税)の問題)の解消に役立たないということだったのか、すぐに個別にも適用することになりました(連結のみ適用するという年度はなかった)。当初は、有税処理した額の40%(当時の税率)は無条件で繰延税金資産に計上できるみたいな雰囲気でしたが、それではまずいということで、急遽、会計士協会から回収可能性に関する実務指針(1999年公表)が出ています。りそなショックはその少し後で、回収可能性が重要だという意識が会計監査業界で非常に高まった時期だったのでしょう。今回のりそなの社史によると、直前に、会計士協会から注意喚起の会長通牒が出たそうです(2003年2月)。