大阪の白井松器械という医療・理化学器械などの製造・販売を行っている会社が、民事再生法の適用を申請し、保全処分および監督命令を受けたという記事。負債は申請時点で約87億円。詳細は書かれていませんが、粉飾決算をやっていたとのことです。
1872年(明治5年)に医療器械商として創業、94年10月期には年売上高約47億円を計上していました。「病理検査室を持つ国内ほぼ全ての主要病院と取引実績を有するなど業界のリーディングカンパニー」だったそうです。
「しかし、同業他社との競争激化、製薬会社の相次ぐ合併のほか、国立大学の独立行政法人化による予算カットで研究分野市場が縮小したことで受注が減少し、業績が悪化。借入金が増加するなか、金融機関から追加融資を受けることが難しくなり、99年ごろから粉飾決算を行うようになった。その後も粉飾決算を続けながら安定した業績推移をたどっているように装っていたものの、借入金が大きく膨らんでいた。
新型コロナウイルスが蔓延した2020年以降は、第三の事業分野として脱臭・除菌・害虫忌避システムなどの環境改善機器を開発し、東南アジアのホテルや介護施設などに売り込み窮境を脱することを計画していたが、今年に入り、決算内容に疑念を抱いた一部の金融機関から借入金の一括返済を求められる事態となり、資金繰りが急速に悪化。民事再生での再建を目指すこととなった。」
企業情報(白井松器械)
会社のウェブサイトを見ると、明治以前に「1716年 大阪道修町で薬種商を創業」とのことで、徳川吉宗の時代から商売を続けていたということになります。
(補足)
東京商工リサーチからも記事が出ました。
白井松器械(株)(東京商工リサーチ)
「同業他社の台頭による競合激化に加え、製薬会社の合併や撤退が相次いだことで業況が悪化。さらに、国立大学の独立行政法人化による予算の減少から、研究分野の市場も縮小していた。
こうした状況下で、金融機関から追加融資を受けることが困難になったため、当時の代表取締役の主導で粉飾決算を行うようになった。また、特定の大口顧客に対する売掛金回収サイトが長期に設定されていたうえ、安定供給のために過大な在庫を保有するよう要求され、厳しい資金繰りを余儀なくされていた。」