金融庁の調査で銀行の有価証券運用の問題点が明らかになったという記事。
「金融庁は、銀行に対する監視や検査に基づく調査結果から、有価証券運用における“素人”銀行の特徴を分析。そして、次の3パターンに分類した。
一つ目は、銀行が有価証券の損切りから目を背けているケース。保有債券の含み損が拡大しているにもかかわらず、その穴埋めの目処が立てられないがために「臭いものにふた」をしている事例だ。
他にも、株価の値上がり、または値下がりで利益が出るファンドを両方購入し、利益が出たほうだけを売却して業績をかさ上げする一方、含み損が発生しているファンドの損失確定は先送りにしている銀行の事例もあったという。
二つ目は、有価証券の利息収入を重視するあまり、将来の金利上昇リスクには目をつぶって、相対的に金利が高い米国債や超長期の国内債券への投資を拡大している銀行だ。...
三つ目は、銀行の運用体制がお粗末なケース。非常に少人数の運用チームで、多数かつ巨額の有価証券運用を手掛けている上に、投資リスクを理解できない有価証券にまで手を出してしまっている銀行があった。中には「ベテラン投資担当者の属人的な一種の勘によって、巨額の運用を行っている銀行もあった」(金融庁幹部)という。」
「株価の値上がり、または値下がりで利益が出るファンドを両方購入し、利益が出たほうだけを売却」という方法は、両方のファンドを時価評価していれば、使えないはずですが、会計処理はどうなっているのでしょうか。
また、「運用体制がお粗末」な銀行については、監査人も当然注意していることでしょう。
「証券会社や外資系金融機関の“かも”となり、どんなものかもよく分からない金融商品に飛び付いた挙句、リーマンショックで“大やけど”を負った日本の銀行業界。あの時の教訓は生かされないまま、10年弱の年月がただ過ぎたようだ。」
デリバティブを組み込んだようなあやしい金融商品を金融機関や企業が利用する(かもになる)というのは、リーマンショック直前の頃だけの話ではなく、1990年代から続いていることでしょう。金融商品会計の導入で、露骨な操作はしづらくなっているとは思いますが...
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