米国会計基準、改正が見込まれる5つの主要領域（JofAより）

Five key issues FASB may change in financial reporting

米国の会計基準設定主体であるFASBの議長が、今後FASBで検討され議論される5つの主要領域を明らかにしたという記事。

Here are five issues that will be studied and debated by FASB in the coming years under active projects, as described by Golden in a speech at the 13th annual Financial Reporting Conference in New York City:

以下の5つです。

・測定（Measurement）

概念フレームワーク検討の一環として議論する予定です。

現行の会計基準においては、測定に関する概念上の哲学が欠けているのだそうです。

・表示（Presentation）

これも概念フレームワークの一環として検討されます。業績報告書（特に損益計算書）の改善が必要かどうかを検討しなければならないとしています。経常的活動と非経常的活動、営業活動と非営業活動といった区分が必要かどうかといった点です。キャッシュフロー計算書もこれと整合するよう見直されます。

・開示（Disclosures）

公正価値や年金に関する開示が多すぎる、他方、（法人）所得税に関する注記が少なすぎるという意見のようです。

・負債と資本（Liabilities and equity）

多くの決算訂正が、負債と資本に関連するものだそうです。（そういえば、日本のオリンパス事件でも、粉飾に関与したアドバイザーに対して与えた、子会社株へのオプションが、負債なのか資本なのかということが問題になっていました。）

・ヘッジ会計（Hedge accounting）

IASBが最近公表したディスカッション・ペーパー（当サイトでも取り上げました）にふれています。

これらは、今後の検討課題ということになりますが、差し迫っているのは収益認識の基準（FASBとIASBの共同プロジェクト）です。

Revenue recognition: Do companies have enough time for implementation?（JofA）

基準適用方法を論じたパネルディスカッションにおけるFASB議長の発言によれば、今月末までに公表されるそうです。米国基準としては、2016年12月15日以降開始する会計期間から適用されます（IFRSとしては、2017年1月1日以降開始会計期間から）。

The much-delayed standard, which has been approved by FASB and the International Accounting Standards Board (IASB), is expected to be released by the end of this month, FASB Chairman Russell Golden said during a panel discussion on how to implement the standard.

The standard will take effect for public companies for reporting periods beginning after Dec. 15, 2016 (FASB), or reporting periods beginning on or after Jan. 1, 2017 (IASB).

同じパネル・ディスカッションで、GEのChief Accounting Officerは、企業は準備のため以下の項目を行わなければならないと述べています。

Hauser said the standard will require companies to:

・Evaluate contracts.（契約を評価する）

・Determine how to account for contracts that have been modified.（修正された契約の会計処理を決定する）

・Determine whether they are recognizing revenue at a point in time or over time.（収益をある時点で一挙に認識するか、それとも、ある期間にわたって徐々に認識するかを決定する）

・Consider changing their financial reporting systems.（財務報告システムの変更を検討する）

たいへんな作業になるといっています。

“So this is huge,” Hauser said. “It’s a huge undertaking, and it’s not just the accountants. We’re going to have to incorporate cross-functionally, and finance leaders and tax and other pieces within our organization are going to be part of the evaluation.”

日本の米国基準・IFRS適用企業の準備はうまくいっているのでしょうか。