会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

中小法人 IPO監査受託、9割増 大手からシフト(日経より)

中小法人 IPO監査受託、9割増 大手からシフト(記事冒頭のみ)

日経がアンケート調査したところ、主要中小監査法人のIPO監査受託が大幅に増えているという記事。

「新規株式公開(IPO)に向けた会計監査で、主要な中小監査法人が5月時点で受託中の件数は、前年同期に比べ9割近く増えたことが分かった。中小法人の監査品質が認知され、IPOを目指す企業が大手・準大手志向からシフトしている。」

5月に、会計士協会の「IPO を目指す企業の監査の担い手となる中小監査事務所リスト」に挙がっている監査事務所を対象に調べたそうです(65法人中34法人が回答)。

「その時点で監査を請け負っている受託件数は149件と前年同期(80件)に比べ86%増えた。19法人で件数が増え、減少は2法人だった。」

応和監査法人は、前年の2倍の10件を請け負い、Moore至誠監査法人は、前年の1件から5件に増えたそうです。

「...野村證券の担当者は「大手法人で経験を積んだ会計士が立ち上げた中小法人が増え、監査の品質が高まってきている」と分析している。」

品質に関していえば、監査は、巨大企業でなければ、10人足らずの監査チームの作業でほぼ完結するものですから、経験者をそれだけ集めてくることができれば、中小事務所でも十分高品質監査が可能です。会計士協会からも、監査のための諸ツール(監査調書のテンプレートなど)が公表され、適時に更新されているので、それらを使えば、最新の監査基準に準拠した監査は可能でしょう。

会計士では対応できない手続をやってくれる専門家へのアクセスや、品質管理部門の充実度、海外ネットワークなどの面では、大手と比べて不利かもしれませんが、監査対象の企業も小規模でしょうから、工夫すれば対応可能でしょう。

他方、金融庁検査や協会品質管理レビューでは、中小事務所の品質不備が指摘されています。大手から独立して新監査法人を立ち上げたり、大手から中小に移籍した当初は、品質を確保できるのでしょうが、それ以降継続して品質を維持できるのかどうかは、別問題でしょう。
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