ジャニーズ事務所性加害問題で、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が、スポンサー企業などへの要請書を公表したという記事。
「この中では、企業の動きについて、「人権を重視する姿勢に深い敬意を表するもので、取引停止が事務所の対応の是正につながる側面があることを否定しない」とする一方、「取引を直ちに停止することを希望するものではない」としています。
その理由として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、契約解除などは最終手段として示されていることから、まずは、取引関係による影響力を適正に行使して改善を要求するなどのステップを踏み、再発防止と被害者救済に向けて積極的に働きかけてほしいと求めています。」
指導原則に、本当に契約解除は最終手段と書いてあるのか見てみましたが、原則というだけあって、企業として取るべき具体的な手段までは書いていないようです。
ビジネスと人権に関する指導原則:国連「保護、尊重及び救済」枠組の実施(仮訳)(外務省「ビジネスと人権」より)
「13.人権を尊重する責任は企業に以下の事項を要求する。
(a) 企業活動による人権への悪影響の惹起またはその助長を回避し,惹起した際には対処すること。
(b) 企業活動と直接関連する,または取引関係による製品もしくはサービスに直接関連する人権への悪影響については,企業がその惹起に寄与していなくても,回避又は軽減に努めること。
14.人権を尊重する企業の責任は,企業の規模,業種,企業活動の状況,所有者,組織構成に関係なく全ての企業に適用される。ただし,企業がその責任を果たすためにとる手段の規模や複雑さは,上記の諸要素や企業による人権への悪影響の重大性により異なり得る。
15.企業は,人権を尊重する責任を果たすため,その規模と状況に応じて,以下を含む企業方針と手続を持つべきである。
(a) 人権を尊重する責任を果たすという企業方針によるコミットメント。
(b) 人権への影響を特定し,予防し,軽減し,対処方法を説明するための人権デュー・ディリジェンス手続。
(c) 企業が惹起させまたは寄与したあらゆる人権への悪影響からの救済を可能とする手続。」(上記指導原則より)
ただし、別報道によれば、日本政府が定めた指針に、そういうことが書いてあるそうです。
ジャニーズ性加害問題当事者の会が要請書 スポンサーの即座の取引停止は「従業員やタレントの地位が脅かされる」(東スポ)
「「当面の所は、スポンサー企業がジャニーズ事務所との取引を直ちに停止することを希望するものではありません」と指摘。
国連指導原則を具現化するために日本政府が策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」について示し、「企業が取引先等による人権侵害を発見した場合、まずは、対話と働きかけによって人権への負の影響の防止・軽減に務めるべき」と記載。
さらに「取引停止は、取引関係を解消するに止まり、現に生じている人権侵害それ自体を解消するものではなく、却って、ステークホルダーによる監視の目が届きにくくなります」と指摘。「企業の経営悪化によって従業員やタレントの地位が脅かされるなど、更なる人権侵害を誘発する可能性があるためです」と述べている。」
これのことのようです。
日本政府は「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定しました(経済産業省)
東スポの方がNHKより専門的?
いずれにしても、「対話と働きかけ」が効く相手なのかどうかということなのでしょう。