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FASB「識別可能な無形資産及びのれんの事後の会計処理」に対するコメント(企業会計基準委員会)

FASBコメント募集「識別可能な無形資産及びのれんの事後の会計処理」に対するコメント(PDFファイル)

企業会計基準委員会は、米国財務会計基準審議会(FASB)が公表したコメント募集「識別可能な無形資産及びのれんの事後の会計処理」に対して提出したコメントを、ウェブサイト上で公開しました。

主な質問項目とそれに対するコメント(一部抜粋)は以下のとおり。

「質問3

コストと便益のベースで、現行の減損のみのモデルと比較して、減損テスト付きののれん償却を支持するか (又は反対するか)。 回答において理由を説明されたい。

6. 我々は、両モデルを比較衡量し、減損テスト付きののれんの償却を支持する。その理由は次のとおりである。

(1) 取得のれんは主として超過収益力を表す資産であり、減価する資産であると考えている。取得のれんの償却は、そうした減価を反映するとともに、自己創設のれんの認識を回避することとなる。

(2) 取得のれんは、企業結合において行う投資のうち、企業結合後に発現することが期待される超過収益力の効果に対応して、費用認識されるコス トの一部である。 その取得のれんの減価について、 償却を通じて各報告期間の純損益に反映させることで、企業結合後の成果を適切に表すことが可能となり、投資家に目的適合性のある情報を提供するものと考えられる。

(3) のれんの償却は、作成者のコストの軽減に寄与すると期待される。 すなわち、作成者には、償却期間を見積るコストが生じる可能性があるものの、減損の計算が行われる状況が少なくなる(特に、償却期間の上限を設定する場合―償却期間の上限に関する我々の見解については、本別紙第8 項を参照) ため、減損テストを実施するコスト及び複雑性が減少すると考える。」

「質問4

仮に当審議会がのれんを償却すると決定するとした場合、 どの償却期間の特徴を支持するか。回答者の回答に当てはまるものすべてを記載し、特定の特徴を選択しなかった理由を説明されたい。(選択肢省略)

8. 我々は、「g. 経営者の合理的な見積り」及び「b. 償却期間の上限」の特徴を支持し、経営者の見積りは、10年を上限として、「将来の正味キャッシュ・インフローが企業結合により増加すると見込まれる期間」 に基づくべきであると考えている。 その理由は次のとおりである。(以下省略)」

「質問9

現行の減損モデルと比較して、のれんの減損を少なくとも年1 回評価する(定性的又は定量的に)という要求の削除について、どのくらい支持(又は反対)するか。理由を説明されたい。

12. 年次の減損テストの評価は、償却を行わないことにより生じる可能性のある、減損損失の認識の遅れを懸念して設けたものであり、減損テストの削除は、償却の再導入と合わせて検討すべきものと考えられる。 すなわち、償却を行わない場合は、年次の減損テストは必要と考えるが、償却する場合には、トリガーとなる事象が発生した場合のみに減損テストを行えばよいと考える。」

「質問10

現行の減損モデルと比較して、のれんの減損を企業レベル(又は報告単位以外のレベル)でテストする選択肢を与えることについて、どのくらい支持(又は反対)するか。理由を説明されたい。

13. 我々は、企業レベルで減損テストを実施するオプションに関する本コメント募集の指摘に同意し、一部の報告単位の自己創設のれんの増大が他の報告単位における取得のれんの減損を覆い隠してしまう可能性がある点で適切ではないと考える。」

以上のように、これまでのASBJのスタンスのとおり、減損テスト付きののれん償却に賛成しています。提案している償却期間の10年という上限は、現行の日本基準の年数より短くなっています。のれん減損テストの頻度については、償却を再導入しない限り、現行の年1回を維持すべき、のれん減損のグルーピングについては、大きいくくりにするのは反対で、現行どおり(報告単位)という意見です。

(のれん償却期間について、10年という上限を提案したということは、日本基準も見直さないと首尾一貫しませんが...)
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