会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「逃した魚は大きかった」東芝が売却した事業の今(東洋経済より)

「逃した魚は大きかった」東芝が売却した事業の今

東芝から売却されて他企業の傘下に入った企業の業績が好調だという記事。

東芝メディカルシステムズ(キヤノンに売却)、東芝映像ソリューション(ハイセンスに売却、テレビの「レグザ」など)、東芝クライアントソリューション(シャープに売却、パソコンの「ダイナブック」など)、東芝ライフスタイル(美的集団に売却)などを取り上げています。

東芝グループの中にいると特有のコストがかかるのだそうです。

「売却後わずか数年で復活できた事業が、東芝時代はなぜ赤字から一向に抜け出せなかったのか。前出のベテラン社員は、「東芝グループにいると特有のコストがかさむからだ」と明かす。

その1つが親会社の東芝に支払う「本社費」の存在だ。売り上げの数%というブランド使用料や、東芝本体に仕事を依頼する際の業務委託料などが含まれる。

東芝は重電や半導体などさまざまな事業会社を持つ。白物家電やテレビなど薄利多売の事業会社だと、この本社費が固定費として重くのしかかってくる。グループ会社が本社費を“年貢”と揶揄するのも理解できる。」

本社費全体が重かったのでしょうか。あるいは、薄利多売の事業の負担が特に重かったとすれば、配賦の方法が不適切だったのかもしれません。

本筋とははなれていますが、東芝メディカルシステムズを売却したとき(2016年3月)のやり方にもふれています。公取委から批判されていましたが、会計的にも微妙な点があったと思われます。

「当時の東芝は、巨額の赤字で債務超過転落の危機にあった。東芝メディカルの売却は、それを逃れるための最終手段として打ち出された施策だった。

ところがある問題が発生する。入札が3月にまでもつれ込んでしまったのだ。売却先のキヤノンとの間で契約書が取り交わされたのは3月17日。売却するには、そこから各国当局の独占禁止法の審査が必要だった。だが審査を待っていると、年度末の3月末までに売却益を計上できない。東芝に余裕はなかった。

そこで「限りなく黒に近いグレー」(金融関係者)のスキームが用いられる。第三者であるSPC(特別目的会社)に一時的に議決権を持たせたのだ。

キヤノンには6655億円で議決権のない株式と新株予約権を譲渡。議決権を持たなければ独禁法の制約を受けずに済む、という荒技だ。当局の審査を終えた後で新株予約権が行使され、東芝メディカルがキヤノンの傘下に入るという形をとった。」

東芝がSPCを支配し、そのSPCが議決権を持っていたのなら、東芝メディカルシステムズは東芝の子会社のままのはず(ですが(売却益は計上できない)、何かの理屈をつけて、東芝の支配から外れたことにしたのでしょう。

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