会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「縛り一切なし」をうたうFREETELの999円プラン、端末価格で3年間の“実質縛り”(Yahooより)

「縛り一切なし」をうたうFREETELの999円プラン、端末価格で3年間の“実質縛り”(ITmedia 配信)

「FREETEL」(会社はプラスワン・マーケティング)が宣伝している999円プラン(スマコミ)は、「縛り一切なし」といっておきながら、端末の割賦代金により実質的に縛りがかかっているという記事。

「スマコミのページを見ても、サービス料金と合わせて月額○円としか書いておらず、端末のみの価格は確認できない

そこで「スマートコミコミ+に申し込む」をクリックしてひとまず端末を選択。プラン選択画面に進めると、ここでようやく「※補足」という文字列が出てくる。

この小さな文章の中に端末価格が書いてあるのだが、FREETELから通信契約なしで買えば一括1万4800円であるはずのPriori 4が、スマコミでは月々の支払いが980円で36回払い、つまり合計3万5280円という、2倍以上の価格に設定されている。

この価格設定は、スマコミで扱っている他の端末も同様で、例を挙げると「KIWAMI 2」は通常一括価格4万9800円のところがスマコミでは9万円、「VAIO Phone A」は通常一括2万4800円のところがスマコミで5万7600円といった具合だ。

端末価格が通常価格より高いということ自体は、商品の値付けに関して販売者の裁量もあるので直接責めるところはない。しかし、申し込みを進めないと端末代が分からず、それも「補足」として小さな文字で添えられているだけなので、ユーザーによっては気づかずにスルーしてしまう可能性も大いにある。

もし、ユーザーが十分に端末価格について理解せずにスマコミを契約し、通信品質や端末品質に不満を持って3年未満で解約したくなったとする。FREETELは「契約解除料」を設けていないので、解約に当たってこれを支払う必要はないが、端末の割賦代金は契約した時点で発生するので、これは確実に払わなければならない。」

消費者保護という観点で問題があるというだけでなく、会計的にもおもしろい事例だと思います。

通信料であれば、期間に対応して徐々に収益計上がなされるわけですが、端末の割賦販売部分については、3年間の割賦代金全額が(厳密には利息部分を除いて)、契約開始時に一挙に収益計上されます(割賦基準を採用しない場合)。記事によれば、一括価格が1万4800円の端末でも2万円超の利益が計上される計算になります。TVコマーシャルなどの宣伝費もまかなえそうです。

これは、契約通りに会計処理をした場合ですが、IFRSの収益認識基準を適用した場合には、どうなるのだろうなどと考えさせられます。

また、割賦期間中に「残債を免除して利用端末を最新機種に「取り換えられる」という制度」もプランには含まれているそうです(端末は返却)。これも、契約通りの会計処理だと、取り替え時に、残債と端末時価の差額を損失処理すると同時に、新端末販売の利益を計上するのでしょう。この損失と利益のどちらが大きいのかは、割賦の残期間などにもよるのでしょうが、平均すると、大きな損失にはならないのでしょう。会計的には、引当金の要否などの論点がありそうです。

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「縛り一切なし」をうたうFREETELの999円プラン、端末価格で3年間の“実質縛り” (ITmedia)
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