学校法人からの巨額横領事件で無罪判決を受けたプレサンスコーポレーション元社長へのインタビュー記事。弁護士や学者などにも話を聞いています。
「ことの発端は2年前に明らかになった巨額横領事件です。
学校法人・明浄学院の経営に関心を示していた×××××受刑者(63)が、18億円もの大金を借り入れ、理事の買収などに使い、学園の理事長に就任しました。
その後、学校の土地を売却して、手付金21億円を得ると、借り入れていた18億円の返済に充てました。
つまり、××受刑者は、自分が理事長になるために使った個人の借金を、学校の財産を売った金で返済したことになるため、業務上横領罪が成立します。
そして、この18億円の出どころが山岸さんだったのです。
検察の見立ては、マンション用地として、学校法人の土地を手に入れたいプレサンスコーポレーション・社長の山岸さんが、この犯罪の計画を知っていて、××受刑者個人に金を貸した、というものでした。」
「【山岸さんの弁護を担当 中村和洋弁護士】
「疑問に思ったのは、明浄学院から21億が横領されていることは事実としてあるんですけど、山岸さんの場合はそもそも、自分でまず金を出している。(××受刑者が)横領することが分かっていて、金を貸すことがあるだろうかというところに違和感があった」
「メールの中身なども見ることが出来た。たくさん客観的な証拠は、全て明浄学院が借りる前提で、少なくとも当初の段階は作られている。そういうのを見ていく中で弁護団は、完全に無罪である、えん罪事件であると確信した」」
「身体拘束を受けた日数は248日。会社を失い、社会的な信用も失いました。
「私は仕事が本当に大好きです。そして、私が作った会社ですから、自分の子供のように会社のことが大好きです。それを一瞬にして取り上げられたのが一番つらかったです」」
取り調べの仕方もひどいものだったようです。長期間勾留し、自白しないかぎり、外に出さないというまさに人質司法です。
とはいえ、この事件自体は、疑問もあります。
そもそも、横領の意図がなかったとしても、元社長が巨額資金を貸し付けなければ、おかしな人物が学校法人の経営トップにのぼることもなかったのですから、学校法人からすれば、元社長の行為は、法人のガバナンスを破壊する大迷惑な行為だったといえます。
また、上場会社であるプレサンスコーポレーションからみれば、役員が巨額資金を資金提供していた先から、不動産を購入したわけですから、その取引は利益相反の要素があります。関連当事者取引として開示する必要はなかったのかという疑問も持ちます(直接の取引ではないので形式的には開示不要なのかもしれませんが)。元社長からすれば、会社の事業を助けるためだったのかもしれませんが、何か会社に不利になるような不正なことをやろうと思えばできたスキームのように思われます。
2年前は、検察の描いた構図どおりの報道でした。
【深層】“消えた21億円” …不可解な手口に潜む『思惑』 事件はなぜ起きたのか<後編>(関西テレビ)
「明浄学院の土地は、あべのハルカスの近くにある大阪市内の一等地だった。莫大な利益を生む可能性を秘めている。
そう考えると、不可解なカネの流れが一本の線でつながる。
山岸社長が18億円を貸すことで、××氏が明浄学院の理事長になる
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明浄学院とプレサンスの土地取引がスムーズになる
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プレサンスは一等地を手に入れる
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山岸社長が貸した金は『還流』で戻ってくる」
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