東芝の原子力子会社WH社による米原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)買収には、隠れた意図があったのではないかという記事。
巨額損失に至った経緯は...
「WHが巨額損失を計上し破産法を申請することになったのは、2015年末にオランダのエンジニアリング大手シカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から買収した米原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の偶発債務がその背景にはあると東芝側は説明している。
「S&Wがジョージア州にあるサザン電力のボーグル発電所とサウスカロライナ州にあるスキャナ電力のV.Cサマー発電所の原発建設工事を手掛けていたのだが、買収完了後この工事を新規に請け負った米エンジニアリング会社、『フルアー』が1年近くかけて見積もり直すと61億ドル(約6700億円)もの追加の損失が発生することが分かり、WHは破産法申請に踏み切った」(東芝広報担当者)」
記事では、こうした会社の説明以上のもっと複雑な背景があるといっています。
「...ショー・グループ(注:S&W社の元親会社)はWHのEPC事業(エンジニアリング、調達、建設)に関して独占権を持つ。WHとは表裏一体の会社だ。
S&Wが担当して巨額損失を出した2つの工事はいずれもショー・グループのコンソーシアム(共同体)が08年に受注した工事だ。いずれも11年3月11日の東日本大震災の影響で着工が大幅に遅れコストがかさんだ。WH、S&Wは共同で12年11月、サザン電力を提訴し、EPC事業の追加費用9.3億ドルを請求した。それだけではない。訴訟にはならなかったが、WHは当時、スキャナ電力とは仕様変更に伴う納期変更と費用負担の、CB&Iとは納期変更追加負担の訴訟リスクを抱え、WHは電力やS&Wと複雑な利害関係を持っていた。
WHはS&Wを取得したタイミングに合わせ、サザン電力、スキャナ電力と、米国のプロジェクトに関する全ての未解決のクレームと係争について和解することで合意した。
なぜ巨額の偶発債務を抱えていたS&Wを、リストラのさなかにあったWHが買収したのか。こうしたプロセスを見ていくと、知らなかったとは考えにくい。これまで表に出せなかったWHの損失をS&Wののれん代にまぶして表にこっそり出すためにこの買収が仕組まれたという疑いも出てくる。」
昨年12月の東芝の記者会見では、巨額損失の原因といわれるS&W社買収の経緯もきちんと調べるというようなことをいっていましたが、WH社破産法申請で、うやむやになってしまったようです。
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末尾でWH社の監査についてふれています。法律事務所に調査をやらせているそうです。
「日米関係筋によると、米国の大手会計事務所、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)がWHの監査を担当している。WHのトップによる、社内への決算の数字を良くするよう指示した圧力について、過去に遡って決算の数字を修正するかどうかを実際に調査しているのは、世界的法律事務所K&L Gatesである。K&Lからレビュー報告書がPwCに出されないために東芝は決算を発表できずにいる。K&Lの態度は依然厳しいとされており、これが3度目の決算発表の延期説の根拠になっている。」
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