株式報酬、脱・信託型を模索 「税率最大55%」見解で(記事冒頭のみ)
信託型ストックオプションについて、国税庁が見解を出したことについて、企業側の反応などを取り上げた記事。
「信託型ストックオプション(株式購入権)と呼ばれる株式報酬を巡り、スタートアップに動揺が広がっている。国税庁が税率が最大55%になるとの見解を示し、導入企業や従業員に負担が生じる可能性が高まったためだ。医療関連ソフトのユビー(東京・中央)は税制適格型に移行した。信託型は約800社が導入しており、見直しの動きが広がる可能性は高い。」
税制適格型の採用が増えるのではないかという見方のようです。
「国税庁は29日の説明会で税制適格型の株価算定ルールを明確化するなど、使い勝手を高める方針を打ち出した。税制適格型に移行しやすくする狙いがある。
「従業員に高い税務リスクを負わせてしまう」。20年ごろに組成した信託型を廃止したユビーの阿部𠮷倫共同代表は理由をこう説明する。代わって全社員を対象とする税制適格型を導入した。」
「フィンテックのブルーモ・インベストメント(東京・中央)の中村仁社長も「今回の見解で税制適格型が優遇された印象だ」として信託型から移行する検討を始めた。一方、算定した株価が企業価値から乖離していると「監査法人から費用計上を求められる可能性もあり、不安は残る」(医療系スタートアップ)との声もある。」
税務上は、株式の評価額が低いほど、行使価格を下げられるでしょうから、有利といえますが、税務で使う評価額と、会計処理(非上場であれば本源的価値算定)に使う場合の評価額は、違うでしょうから、問題は残るのでしょう。(すなおに費用計上すればいいと思いますが)
日経記事では、有償型なども検討対象としてあげていますが、会計処理的にはどうなのでしょう。
当サイトの関連記事(税制適格ストックオプションに関する通達改正案について)
信託型ストックオプションに関して適時開示している会社もあります。
当社が導入している信託型ストックオプションに関するお知らせ(トリドリ)(PDFファイル)
「新聞記事等で導入済み企業への財務影響の憶測記事が散見されますが、当社においては、信託 SO を導入済みではあるものの、本時点では受益者確定はしておらず、また、当然に従業員による権利行使は発生していないことから、信託 SO による過年度の税負担の見直し等の影響は一切ありません。
なお、今回の国税庁の見解を受けた導入済みの信託 SO の取り扱いについては、社内及び外部専門家と協議し決定することとしております。今後、公表すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせいたします。 」
たいした影響はないのではないかという記事。
信託型ストックオプションは給与課税対象 国税庁が見解、影響軽微か(毎日)
「企業側は給与所得扱いであれば源泉徴収するはずだった分の追徴課税が生じる可能性があるが、社員らがSOを行使していなければ税負担は発生しないという。国税庁のアンケート調査では、信託型SOを信託会社に委託している291社のうち、SOを行使したのは3社にとどまり、影響は軽微とみられる。国税庁は権利行使前であれば一定のルールを設けることで譲渡益課税の対象にできる「税制適格SO」への移行を呼びかけている。
ただ、スタートアップ関連団体の一つは「権利行使済みの従業員がいる企業にとっては、社員・元社員への対応や過去の決算の修正など、大きな影響が出る可能性がある」と懸念を示した。」
日経は騒ぎすぎ?
(補足)
日経の続報。
「信託型」株式報酬、上場20社超が追加納税の可能性(日経)(記事冒頭のみ)
「信託型と呼ばれるストックオプション(株式購入権)について国税庁は2日、少なくとも20社超の上場企業で税負担が増える見通しだと明らかにした。」