日本大学背任事件の関連で理事長が逮捕されたことを取り上げた日経社説。
日大の説明責任についてふれた部分。
「9月に強制捜査が行われて以降、説明責任を果たそうとしない大学の対応には問題がある。理事長本人は表に現れず、大学は記者会見を開いていない。背任の被害届も出していない。長年実権を握る実力者の「威光」を恐れていると受け止められても仕方がない。
いまからでも外部の弁護士らによる第三者委員会を設けて一連の事件を検証し、結果を外部に公表すべきだ。チェック機能がなぜ働かなかったのか。再発を防ぐには何をすべきか。向き合うべき課題は山積している。検証と反省なくして日大の再生はあり得ない。」
これはこのとおりだと思いますが、今までの経緯をみると、無理なのでは。
現在文科省でやっている大学のガバナンス見直しについてもふれています。
「文部科学省はこれまで大学トップが経営改革に主導権を発揮しやすい方向で制度改正を進めてきた。しかし旭川医科大学長によるパワハラ問題など国公私立を問わず不祥事が頻発し、権限集中の弊害が表面化している。
文科省の専門家会議は、理事会の諮問機関である評議員会の権限を強め、理事長の解任を可能とする私学経営の改革案をまとめた。」
いままでは、トップの「リーダーシップ」が大事だといってきたわけですが、トップの暴走を止める手段がないまま「リーダーシップ」だといっていると、ろくでもない結果になるということでしょう。
日大・田中理事長に敗訴した教員ら、脱税事件は「常識の枠を超えた非行だ」と批判(弁護士ドットコム)
「日大をめぐっては、2018年にアメフト部の危険なタックルや、医学部卒業生の子どもを優遇した不正入試があいついで問題化。大学のガバナンスに問題があったなどとして、2018年度の私学助成金が前年度と比べて割合で35%、金額にして約33億円減らされた。
同会(「新しい日本大学をつくる会」)は、こうした事態を招いた責任を追求するため、田中理事長ら新旧執行部の8人を相手取って、減額された助成金の1割に相当する3億5000万円を日大に支払うことなどを求める訴訟を2019年に提起していた。
この日、判決があり、東京地裁(武部知子裁判長)は同会の請求を却下した。組織が負った損害について、組織に変わって賠償を求めることは住民訴訟などで見られるが、大学をめぐっては異例。判決は、同会側に「当事者適格を認めることはできない」と判断した。」
「同会は判決後の会見で、「現行法では難しい戦いになることは覚悟していた」とコメントした。」
株式会社なら株主代表訴訟があるわけですが、学校法人にとって教員は単なる従業員あるいは取引先でしかないので、法律的には原告の主張は無理があったのでしょう。だとすれば、どうやったらトップの暴走を止めることができるのか...。
当サイトの関連記事(文科省学校法人ガバナンス改革会議の議論について)
その他関連報道。
××容疑者、建設会社から3000万円 再任祝い名目、無申告か―日大・東京地検(時事)
「関係者によると、建設会社は2020年夏、19年10月の台風19号で浸水などの被害を受けた日大工学部(福島県郡山市)や日大東北高校(同市)の災害復旧工事を計約6億円で受注。日大子会社の「日本大学事業部」が契約を仲介した。
一方、建設会社は同時期、××容疑者(日大理事長)の自宅が入る東京都杉並区のビルで、同容疑者の妻が経営するちゃんこ店の改修工事も数千万円で受注した。この際、日大元理事で事業部取締役だった×××××被告(64)=背任罪で起訴=は本来かかる費用より安く請け負うよう要求したとされる。
×××被告(元理事)は建設会社に対し、「復旧工事でもうけているんだから、(改修工事の相当分を)理事長にお礼として払え」と指示。同社は、20年9月に理事長に再任された××容疑者(日大理事長)への祝い金として約3000万円を支払ったという。」
払う方も払う方でしょう。
これは別の大学の話ですが...
↓
上野学園がコンサートホール売却 OBらが現状維持求め署名活動(毎日)
「上野学園は創業家出身の理事への過大な報酬の支払いが経営環境を悪化させたなどとして、16年に文科省の指導で第三者委員会による調査報告書が提出された。その後も学園から教職員への残業代の未払いが長期化して訴訟に至るなど、経営の混乱が続いている。」
当サイトの関連記事(上野学園大学のガバナンス問題について)
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