会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

2022年6月期第3四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(オウケイウェイヴ)

(2022/5/16)2022年6月期第3四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ

巨額の資金をポンジスキームにだまし取られた疑いがあるオウケイウェイヴ(名証ネクスト)のプレスリリース。

四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書を提出するとのことです(その後承認されています)。

巨額資金を預けていた相手先のことや資金を預けた経緯、契約内容などがさらに詳しく開示されています。

一応、取締役会の承認を得た上で、資金を預けていたようです。

「当該取引先は 1 年ほど前に当社代表の福田の知人の紹介により知ったもので、当該取引先や大手証券会社等の目利きをもって、IPO 株をロックアップの期間に特別枠をもって運用するスキームであり、VC 等の未公開株取得原価や VC 等と証券会社の関係や今後の株価見通し等が勘案された提案を受け、当社として取引先調査等の手続きを実施し 3 か月の契約にて取締役会によって当該運用を決議しました。この時点で予定されていた事業分割において、当社業績に利益をもたらす可能性を見据えて運用を行うこととしたものです。」

これだけでは、どういうスキームなのかさっぱりわかりませんが、きっと魅力的に見えるスキームだったのでしょう。社外取締役である元・金融庁証券取引等監視委員会事務局長もだまされたということになるのでしょうか。

その後の経緯。

「その後、最初の運用において予定通りに償還がなされたこともあり、当社業績に利益をもたらす可能性を見据えて、以降継続して 3 カ月ごとに運用益も含めて 30 億円から 46 億円の契約を交わし運用を委託してまいりましたが、2022 年3月 31 日までの契約に関して当社に対して一切の入金がなく、当該取引先の契約違反が明らかとなりました。当社は当該取引先に対して強い催告を繰り返しましたが当該取引先からは誠意ある回答がなく、同年4月 18 日に当該取引先の代理人弁護士から債務整理の受任通知が届いたという経緯になります。」

取締役にカネが渡っていたという報道もありましたが...

「2022 年5月 12 日付「一部報道について」にて記載のとおり当該取引先から当社社外取締役に対して訴訟の提起がされた事実があり、当該取締役が当該取引先に関与していた旨言及されていますが、当該取締役は当社の当該取引先に対する資金運用委託に関して手数料その他の名目での金員を受け取った事実はないと否認しております。当該取締役は取締役会等の中でもたびたびガバナンスについての知見のあるアドバイスを行っており、本件も当社の利益に寄与する観点で、その内容を確認したうえで前向きに進めてきており、当社としては当該取締役が当該取引先の一員として当社へ勧誘を行っていた認識はありませんでした。当該取引先の取引の更なる事実関係については現在調査中です。」

会計監査についてもふれています。資金を預けた取引先に証拠の提出を求めたにもかかわらず、応じてもらえず、監査人交代に至っています。

「本件に関連して前監査人である南青山監査法人から、当該取引について、当該取引先の相手先との証跡の提出を求められ、当社から当該取引先に対しても再三依頼したにも関わらず提出がなされませんでした。そのため事実関係が不透明なことに加え、当該資金運用に係る与信管理について当該取引先からの情報提供が十分ではない現状においては、監査手続を続行することは困難であり監査契約を継続しない意向である旨が伝えられ、今後の監査対応等について協議しました結果、監査人を交代することとし、新たに柴田洋公認会計士および大瀧秀樹公認会計士を監査人として選任いたしました。」

前監査人が手続ができないといっているような状況で監査を引き受けてしまって、大丈夫なのか、心配になります。

会社の対応は...

「当該取引先に対して法的措置も含めた対応を行うとともに、本件取引の開始経緯や当社の決定プロセス等の本件取引全体を、当社から独立した立場から客観的かつ専門的に事実を調査・究明した上で、本件取引の会計処理を過年度収益計上の修正の可能性も含めて検討する必要があると自主的に判断し、当社と利害関係を有さない外部の専門家で構成される調査委員会を立ち上げることを決定し、調査委員会にて本件取引の事実関係の調査過年度の会計処理及び開示の適切性の検討並びに当社連結財務諸表等への影響額の確認等を行っております。この調査委員会の調査報告書の提出に1か月程度を要するとともに会計監査人による監査についても一定の期間を要するため本申請を行うものです。 」
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