8月12日に公表されたASBJの中期運営方針の中で「減価償却に関する会計基準の開発」が検討課題になっているという記事。
「...「市場関係者のニーズを反映して日本基準を高品質なものとする取組み」として「今後の検討課題」に挙げているのが、「減価償却に関する会計基準の開発」。すなわち、「日本基準においては、固定資産の減価償却に関する会計基準が存在せず、法人税法上の損金算入について損金経理要件が定められていることに関連して、いわゆる税法基準が広く用いられている。減価償却に関する会計基準の開発を行うことは、日本基準の体系の整備につながり、日本基準の高品質化につながる可能性がある」。
しかし、「これまで、法人税法において損金経理要件が定められる中、会計基準の開発を行うことの困難さが指摘されている項目である」ことも事実。以前もASBJでは「固定資産会計専門委員会」を設置し、平成 14年8月から平成 15年10月にわたって、海外調査の実施など固定資産の減価償却に関する会計基準を検討していたが、中断を余儀なくされた経緯がある。」
ASBJ(8月10日)の会議資料によると、アウトリーチでは以下のような後ろ向きの意見もあったようです。
「「減価償却に関する会計基準の開発を行うことは、日本基準の体系の整備につながり、日本基準の高品質化につながると考えられる」とあるが、減価償却に関する会計基準の開発をするかどうかは、既定路線ではなく、今後市場関係者の意見を聞いて判断するものである。よって、このような断定的な書きぶりは誤解を招くので、表現を改めるべきである。」
ということで、最終的な中期運営方針では、
「「今後、減価償却に関する会計基準の開発に着手することの合意形成に向けた取組みを行う予定である。」
という記述になっています。
税制改正関連の実務上の取扱いの検討の際にももめたようですが、たぶん、現行基準でも税法基準と別になっているはずという建前的な考え方(だから税法がかかわったからといって会計がそれにあわせる必要はない)と、税法に合わせるのが当然という考え方があるのでしょう。しかし、新たに基準を開発するとなると、建前的な考え方にあわせざるを得なくなるのでしょう(だから反対がある?)。
(減価償却は税法に合わせるべきという会計基準を作って、世界に発信するのもおもしろいと思いますが)
審議(1)-3 市場関係者(財務諸表作成者)に対する意見聴取(アウトリーチ)の概要(企業会計基準委員会)(PDFファイル)
当サイトの関連記事(企業会計基準委員会の中期運営方針について)
その2(「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」について)
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