電線大手各社が2009年3月期から外貨建て収益の円換算方法を相次ぎ変更するという記事。
「期末時点の為替レートを用いていた従来方法を改め、期中平均を採用。・・・3月に1ドル=95円台を付けるなど急激な円高が進み前期収益が目減りしたことに対応、期中平均レートの採用で今後の為替変動リスクを抑える。」
記事だけでは変更の詳しい内容はわかりませんが、おそらく、海外子会社の財務諸表項目のうち損益項目(収益だけではない)の換算を平均レートに変えるということなのでしょう。たしかに、期末レート次第で海外子会社の1年間の業績ががらりと変わるのもおかしな話です。
さらに四半期決算が定着してきていることも関係しているのかもしれません。発表済みの四半期の損益はその四半期末のレートで換算し、その後の四半期や年度決算は、またその時点の期末レートで換算し直すということになると、発表済みの損益を実質的に修正していることにもなり、説明しづらい数値になるおそれがあります。各四半期ごとの平均レートでそれぞれの四半期の損益を換算すれば、そうした問題はなくなります。
しかし、平均レートで換算することで「為替変動リスクを抑える」ことができるわけではありません。海外子会社の期末の資産・負債は期末レートで換算するわけですから、差額は為替換算調整勘定として資本に直接加減されるだけです。IASBが検討しているような純利益をなくして包括利益だけするという表示方法だと、純利益よりも上の収益・費用も為替換算調整勘定の増減も同じ扱いになってしまいます。
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