金融庁の企業会計審議会の総会が、2010年6月8日に開催されました。
9日の日経新聞によれば「単体の財務諸表と国際基準の共通化作業の課題を協議する」そうです。
また、同紙で報じられたように、審議会の配布資料(「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関する検討会」の概要の報告)によれば、「企業会計審議会での審議中に、ASBJにおいて個々のテーマについて議決を行う場合、個別財務諸表の取扱いについては、判断を留保する方向で委員会で議論する」とされています。
日経によれば、具体的には包括利益や開発費の資産計上などについて、連結の基準の方を先行させるそうです。
個人的には、連結と個別を分けて議論すること自体、間違っているのではないかと思います。
区別するのであれば、上場会社などの一般投資家向けの財務諸表とそれ以外で考えるべきです。
将来的にIFRS導入となった場合、前者については、連結であれ、個別であれ、IFRSを適用すべきでしょう(ただし、連結財務諸表を開示するのであれば個別の開示は不要としてもよい)。また、税務や会社法との調整が難しいのであれば、この場合の個別財務諸表は、会社法の計算書類と切り離してしまう方法もありえます。
一般投資家向けでない財務諸表については、日本ローカルの基準を継続するか、少しずつコンバージェンスを行っていくかは、別途議論すればよいと思います。そもそも、このような財務諸表は一般に金融商品取引法の対象外ですから、極論すれば、企業会計審議会で議論してもらわなくてもよいといえます。
また、一般投資家向けでない財務諸表であっても、連結財務諸表を排除する必要はありません。たまたま、法律で開示が強制されていないため、ニーズはあまりないとは思いますが、日本ローカルの基準による連結財務諸表があってもおかしくはありません。連結と個別の議論をみていると、連結というものを特別視しすぎではないかと思います。非上場会社であっても、無計画に子会社を作りすぎて、経営者自身がグループの実態を把握できなくなった例もあります。そういう会社やそういう会社の債権者にとっては、適用される会計基準にかかわらず、連結は有用です。
最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事