会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

イオン銀行に金融庁が業務改善命令…資金洗浄対策で不備、来月末までに計画提出求める(読売より)

イオン銀行に金融庁が業務改善命令…資金洗浄対策で不備、来月末までに計画提出求める

マネーロンダリング対策不備で、金融庁がイオン銀行に対し、業務改善命令を出したという記事。

「リスク管理体制の整備が不十分だとして、業務改善計画を1月末までに提出するよう求めた。」

「金融活動作業部会(FATF)」による審査結果で、日本のマネロン対策の取り組みが不十分と指摘されており、金融庁が対応を求めていました。

金融庁 イオン銀行に業務改善命令 マネーロンダリング対策不備(NHK)

「マネーロンダリングへの対策をめぐっては、各国の取り組みを審査する国際機関=FATFが2021年に公表した審査結果で、日本では地方銀行などの対策が不十分だと指摘し、定期的な改善状況の報告を求めています。

こうした中、金融庁はイオン銀行に対してマネーロンダリングが疑われる取り引きの届け出など対策面に不備があったとして、法律に基づく業務改善命令を出しました。」

「金融庁はFATFからの指摘を受けて、ことし3月末までにマネーロンダリング対策を導入するよう求めていましたが、一連の検査によって処分が出るのは初めてです。」

イオン銀行に対する行政処分について(金融庁)

1.マネロン・テロ資金供与対策に係る不適切な業務運営

(1)疑わしい取引の届出に係る不適切な取扱い

① 取引モニタリングシステムで検知した取引の放置

当行は、令和5年6月から同年11月及び令和6年7月から同年9月にかけて、取引モニタリングシステムで検知した取引のうち、少なくとも14,639件について、疑わしい取引に該当するか否かの判定を行わないまま放置しており、本来届出を行うべき取引の届出がなされていないことが懸念され、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)に違反する可能性のある取扱いが認められた。

② 疑わしい取引の届出の滞留・長期化

当行においては、令和5年5月以降、疑わしい取引の検知から届出までに要した日数の月平均が長期間(最長で、令和6年2月に152日間)に及ぶ状態が継続している実態が認められた。

(2)態勢整備期限におけるガイドライン対応の未完了

当行は、ガイドラインで対応を求めている態勢の整備に必要となるシステム対応を行っていないほか、規程等の整備を完了していない等、前回検査で当庁より指摘を受けた様々な事項について、前回検査から十分な期間があったにもかかわらず、検査実施時点においても改善しておらず、ガイドラインで対応を求めている事項について、当庁が要請した期限(令和6年3月末)までに態勢整備を完了していない実態が認められた。

2.経営姿勢及び態勢上の問題

(以下省略)」

「ガイドライン」というのは、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(平成30年2月に金融庁が公表)のことです。

金融庁による行政処分について(イオン銀行)(PDFファイル)

マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢強化について(イオン銀行)(PDFファイル)

海外ではマネロン対策不備で巨額の罰金が課せられることもあるようです。

「米国一便利な銀行」に罰金4700億円 マネロン対策不備(日経)(記事冒頭のみ)

経営陣は「フラット・コスト・パラダイム」とよぶ管理法を強制し、マネロン対策投資を怠り、そうした中、行員は疑わしい取引の基準を引き下げ、警告件数を抑制していたそうです。

TDバンク、有罪認め31億ドル支払いへ-マネロン監視の不備巡り(2024年10月)(ブルームバーグ)

「トロント・ドミニオン銀行(TDバンク)は、麻薬カルテルなどのマネーロンダリング(資金洗浄)に対し、適切な監視を怠った刑事責任で有罪を認め、米司法省などに総額約31億ドル(約4600億円)を支払う。

司法省や通貨監督庁(OCC)、連邦準備制度理事会(FRB)との合意に基づき、TDは4340億ドルを上限とする米銀行子会社2社の資産制限も受け入れる。」

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