「JA秋田おばこ」という農協で粉飾決算が発覚したという記事。具体的な手口はよくわかりませんが「米の直接販売での不適切な会計処理に伴って、約56億円の累積赤字が判明した」とのことです。
「JA秋田おばこでは平成16年から、JA全農あきたを介さずに農家から集めたコメを卸売業者に直接売る「直接販売」を開始。生産農家に事前に払う「仮払金」を需要予測より高めに支払い続け、28年までに約55億9740万円の累積赤字が発生。複数年の販売代金を合算するなどして、不足が生じていない会計書類を作成していた。このほか約12億5千万円の未収金が宮城県の米穀卸会社との間で生じている。
不適切な会計処理は昨年夏、JA全国監査機構による監査で発覚。...」
社説:おばこ巨額赤字 会計実態の全容解明を(秋田魁新報)
「赤字や未収金はいずれも全国農業協同組合連合会(全農)を通さずに売るコメの直接販売の会計で生じたとされる。JA全国監査機構が昨年夏、おばこのコメ取引を監査し事務処理に「重大な欠陥がある」と指摘、赤字や未収金が露見した。
監査機構の指摘によると、会計の根拠となる帳簿がなかったり、理事会への在庫量の報告が実態と違っていたりしたほか、事実と異なる会計処理が慣行化していたという異常事態だ。
JAが農家から集荷したコメを売り切るまでには一般的に数年かかるが、各年産で販売収入や経費計上、利益などを確定させるのが基本だ。ところがおばこは他年産のコメの販売収入を繰り入れ、黒字に見せていた可能性も指摘されている。」
農家への仮払金の精算、在庫管理、年産別の経費管理、売掛金管理などで、不正を隠すために、あえてずさんな処理を続けていたということでしょうか。
組合員が約3万人もいる大きなJAだそうです。隠されていた赤字の穴埋めは、これから組合員の負担でやることになるのでしょう。地域社会に大きな影響が出るかもしれません。会計士・監査法人による農協監査で、こういう不正を、適時に指摘できるようになればよいのですが...。(農協監査にはみのり監査法人しか手を挙げていない(?)ようなので、同監査法人にがんばってもらうしかありません。)
JAおばこ巨額赤字、売り切れる量超えコメ集荷か(秋田魁新報)
この記事の図などを見ると、この農協は農家から委託を受けてコメを販売していたようです(農協の仕入にはしておらず農家のコメを簿外で預かっていただけ?)。
「おばこの赤字は、農家からコメを集めて「仮渡し金」を前払いしたものの、当初見込みを下回る価格でしかコメを販売できず、その差額が累積していった可能性がある。」
仮払金が多すぎたのなら、返してもらえばいいという話ですが、農家の方は今さら返せといわれても迷惑でしょう。
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(秋田魁新報記事より)
JAおばこ問題「実態解明できていない」 国が追加調査要請(秋田魁新報)
「コメ直接販売事業で巨額の累積赤字と未収金を抱えるJA秋田おばこ(本所秋田県大仙市、原喜孝組合長)の問題で、農林水産省が内部調査報告書は実態解明できていないとして、県に追加調査を求めたことが2日、分かった。」