会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東電、除染費用支払い拒否 74億円、国は黙認(朝日より)

東電、除染費用支払い拒否 74億円、国は黙認

東京電力が国から請求された除染費用の支払いを拒否しているという記事。

国が除染費用を立て替えた後、東電に請求するのが「放射性物質汚染対処特別措置法」の規定だ。環境省は現在までに計404億円を請求したが、東電が支払ったのは67億円。国や東電は「内容の確認に時間がかかっている」とし、手続き上の問題と説明してきた。

 ところが、東電は2月21日付で環境省に送った文書で、昨年11月の第1回請求分の大半について「支払いが困難であるとの結論に至った」と拒否。環境省が説明を求めると、2月27日付の回答文書で、第2回請求分をあわせた149億円(118項目)のうち、74億円(95項目)について個別に支払わない理由を列挙した。」

除染費用を最終的に負担するのは東京電力なので、その見積り額を、それが何兆円であろうとも、東京電力は一挙に計上していなければなりません。支払いを拒否しているのは、支払いをすんなり認めてしまうと、今後の請求分も含めた損失の見積額が大きくなるので、それをさけるためでしょうか。決算に与える影響は、今回明るみに出た74億円だけではなさそうです。

10月31日に第2四半期の決算発表があるようなので、除染費用の損失計上が正しく行われているかどうか、よく見る必要があります。(金融庁は見て見ぬふりのようですが)

国直轄の除染費用、8割使われず 東電、請求の大半拒否(朝日)

除染作業が遅れているからといって、損失計上を行わない理由にはなりません。

東電、除染費336億円未払い…会計検査院指摘(読売)

「報告書は除染費用について、国が東電に請求した403億円のうち、回収は67億円にとどまると指摘した。ただ、東電は、除染で出た土を保管する仮置き場の設置費などを「除染費用に含まれるのか明確でない」として支払いを保留し、国にも一定の負担を求めている。東電に理解を示す経済産業省は財務省と協議を始めたが、財務省は反発している。

 国は除染費用として2013年度までに約1兆3000億円を計上した。除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設の計画が具体化すれば、費用は1兆~2兆円膨らむ可能性がある。法律では「(東電は)請求があった時は速やかに支払うよう努めなければならない」と定めている。」

日本の会計は発生主義なので、カネがないから損失計上しないというわけにはいきません。もっとも、これまで政治献金をばらまいたり、天下りを受け入れたりしてきたので、請求されても踏み倒せるという合理的な見積りがあるのかもしれません。

当サイトの関連記事(東電の株主総会で除染費用がまったく計上されていないと株主から指摘されたことについて)
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