ブルドックソースが、2007年9月中間連結決算で買収防衛策の発動による約28億円の特別損失を計上するという記事。
「特別損失の内訳は、スティールから21億1400万円で取得する新株予約権を全額、損失処理するほか、買収防衛策導入などに伴う財務アドバイザーや弁護士費用などが約6億8000万円。」
このうち、新株予約権の取得(正確には取得しただけではなく「消却」したこと)による損失は、日本基準独特の会計処理です。しかし、こういう例をみると、基準自体がおかしいのではないかと思われます。
この新株予約権は、スティールを含む全株主に対して無償で交付されたものです。いいかえると、その時点では、株式を、株式と新株予約権という2種類の異なる権利に分割したことになります(価値の合計は変わらない)。
その後、スティール以外の株主に対しては、新株予約権と交換に株式を発行し、スティールに対しては新株予約権と交換に金銭を交付しています。これは、いったんスティールを含む全株主に対して株式分割を行い、スティールの持ち株(分割によって増えた株)だけ、自己株式として取得するのと、経済的実体はほとんど同じです。自己株を取得し消却しても、それは資本取引ですから損益は生じません。それを新株予約権を経由すると、損失になるというのは矛盾しています。
(以上の議論では、税務の扱いは無視しています(よく知らないので)。)
当社新株予約権の消却に関するお知らせ(PDFファイル)
特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)
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