日本公認会計士協会は、監査実施状況調査(2023年度)を、2024年12月20日に公表しました。
「本調査は、会員が協会へ提出する監査概要書(写し)及び監査実施報告書から抽出したデータを基に、会員をはじめとする利害関係者の意思決定の参考に資するため、監査に関与する者の人数、監査時間、監査報酬額を客観的に統計資料として取りまとめたもの」です。
平均単価についての注意書きがなされています。
「なお、昨年から単純平均単価を掲載しているが、参考資料にも掲載のとおり、監査時間数に占める公認会計士以外の監査補助者の比率が年々増加しているため、当該単純平均単価情報については留意して利用されたい。」
今回公表されたのは、2023年4月期から2024年3月期に係る監査実施状況です。監査区分別(金商法監査・会社法監査は業種別、金商法監査は上場区分別も)に、集計されています。
監査報酬が最も多い区分である「金商法監査(連結あり)」(総額 2024億円)をみると、平均監査報酬は 57,642千円(前年度は 55,426千円)となっており、約4%増えています。
平均監査時間(2023年度 4,768.3時間←2022年度 4,648.6時間)は2.6%増、平均単価( 2023年度 12,088円/時←2022年度 11,923円/時)は1.4%増です。
すべての監査区分を合計した監査報酬総額は 3461億円(前年度は3304億円)です。これが、法定監査の市場規模といえます。
監査報酬額、監査時間、時間当たり単価の推移をまとめた参考資料もついています。
金商法監査の数値(連結有無の区分なし)を見ると...
総監査時間は、(順調に?)増えていますが、平均単価は12,000円前後であまり変わっていません。
平均単価については「公認会計士以外の監査補助者の比率が年々増加している」ことに留意とのことですが、たしかに、公認会計士以外の補助者の割合が徐々に増えているようです。
平均単価があまり上がっていないことの説明にはなりますが、会計士の割合が下がることがよいことなのかどうか...
いずれにせよ、AI監査により、生産性向上、監査時間削減、報酬単価上昇というシナリオは、まだ実現していないようです。
すべての区分を集計した全体の総監査報酬の推移は...
これが法定監査の市場規模だとすると、10年で約1.5倍に拡大していることになります。