日本公認会計士協会は、租税調査会研究報告第24号「我が国の消費税の現状と今後の方向性について(中間報告)」を、2012年4月10日付で公表しました。
消費税の概要や歴史から、今後の方向性まで、幅広い論点を取り上げており、消費税のことを調べる際には役立ちそうです。約90ページのボリュームがある労作です。ざっとみたところ、会計士協会独自の主張や問題点の指摘などは盛り込まれていませんが、簡単に結論の出るテーマではないので、しかたありません。また、大蔵省から分離した金融庁の監督下にある会計士協会の立場からしても、現行制度や消費税増税路線に批判的なことは書けないのでしょう。
個人的には、仕入税額控除の仕組みをどうしていくのかが気になります。帳簿方式とインボイス方式のどちらがよいかという論点にも関連しますし、今後仮に複数税率となった場合に、仕入れにかかる消費税はどのように控除するのか(例えば、税率5%が適用される売上に対応する仕入れに10%の消費税がかかっている場合は、10%まるまる控除できるのか)など、消費税独特の問題が出てきます。前段階でかかった消費税は、税率にかかわらず全額控除する、非課税の場合も輸出免税と同様に全額控除するというのが、シンプルでよいと思うのですが、税収が減ってしまうので、反対が強そうです。
こちらのコラム記事で指摘されている点も、仕入税額控除の話です。医療のような非課税売上であっても、仕入に課される消費税が還付されなければ、負担増になってしまうのをどうするのかという論点です。コラムの結論は、医療も消費税の課税売上としたうえで、課税された消費税分だけ別途補てんすればよいというものですが、仕入税額控除の方で解決することもできるでしょう。
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消費税率引き上げが医療崩壊を加速する!?(ダイヤモンドオンライン)
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