消費税率が引き上げられたということで、近現代史研究者が戦前の納税美談・納税標語・納税ソングの世界を紹介した記事。
「由来、進んで税金を払いたいものなどいない。だからこそ国や自治体は、戦前から「納税思想の涵養」、つまり納税意識の啓発に励んできた。」
例えば、こういう納税標語があったそうです。
「スローガンは、時代や流行に絡めたほうが、ひとびとの関心を引く。満洲事変以降に、非常時を訴え、愛国心を刺激する標語が出てくるのは必然だった。...このシリーズは、1937年に日中戦争がはじまると、ますます切実に、生々しくなっていった。要するに、「兵隊に行く覚悟で、税金も払え」というのである。
「応召する気で 納期を守れ」(1937年、北海道庁)
「勇んで出征 進んで納税」(1938年、大阪府泉北郡)
「応召の 心で守れ 納税日」(1940年、横浜市福富町納税組合)
「征く気で守れ 来る納期」(同年、中央標語研究会)
「納税へ みな応召の 心がけ」(1941年、東京府東京市)
「勇んで出征、進んで納税」だと、徴兵された上に徴税もされることになる。まさに踏んだり蹴ったり。大日本帝国は、納税勧奨もなかなか過激だった。」
「プロパガンダはよく笑う。ニコニコ顔で理想を仰ぐ。納税標語も例外ではない。ここでも気持ち悪いほどに納税者は笑顔である。
「正しき申告 笑顔で納税」(1926年、関西三大都市税務協会)
「愉快に働き 笑つて納税」(1930年、岩手県水沢財務出張所)
「感謝で働き 笑顔で納税」(1934年、岸和田市)
「黙つて働き 笑顔で納税」(1937年、飯田税務署)
もちろん、これは現実の反映ではない。スローガンは、しばしば不都合な現実を覆い隠す。国民が一致団結していれば、わざわざ「挙国一致」と叫ぶ必要はなく、国民が全員清貧に甘んじていれば、あえて「質素倹約」を訴える必要もない。「笑顔で納税」の裏には、けっして笑顔ではない納税者の涙があった。」
「笑顔で納税」はいまでもありそうなスローガンです。
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