米国の上場会社監査を監督している公開企業会計監視委員会(PCAOB)のプレスリリース。
米国の6大監査事務所(ビッグ4+準大手)に対する2018年の検査結果を、ユーザーに優しい新しい様式で、6月1日に公表したとのことです。検査報告書のフォーマットを変更したのは始めてだそうです。
The Public Company Accounting Oversight Board (PCAOB) today issued the 2018 inspection reports for the six largest U.S. audit firms in a new, redesigned format. The new format marks the first time the PCAOB has substantially changed its reports since the Board first issued a report more than fifteen years ago.
新しい検査報告書のフォーマットは、報告書の内容を整理して読みやすさを向上させ、新しい図表を利用して、ユーザーにとってより消化しやすく、またアクセスしやすくしているそうです。透明性を増すために、以前の報告書では記載されていなかった情報も含まれています。また、主要な変更点を詳しく説明し、ステークホルダーが報告書を読む際の助けとなるよう、新検査報告書を読むための手引き(Guide to Reading the PCAOB’s New Inspection Repor)も公表されています。
The PCAOB’s new inspection report format streamlines the report’s content to enhance readability and utilizes new charts and graphs to make the information more digestible and accessible for users. It also includes new information not previously communicated in inspection reports to enhance transparency, which is one of the Board’s strategic goals. To further detail the key changes to the report and assist stakeholders in reading it, the PCAOB has issued a Guide to Reading the PCAOB’s New Inspection Report. This guide also solicits public feedback on our new report format.
各監査事務所の検査報告書は、PCAOBの上記ページの末尾にリンクが掲載されています。1事務所あたり、20~30ページほどのものです。個別の監査業務の不備の指摘が主です。最初の方で、不備のあった監査業務の件数や、不備の件数、不備の傾向などがまとめられており、そのあと、監査業務ごと(会社名は伏せているが業種はあきらかにされている)の不備内容が書かれています。事務所全体の品質管理については、公表版の報告書からは省かれていて、検査後、改善されなかった場合に公表されるようです。
米国上場企業の監査に関わっている人や、会計監査と英語を同時に勉強したい人には参考になるかもしれません。
新報告書を読むための手引きはこちら。
↓
Guide to Reading the PCAOB’s New Inspection Report
日本の会計士協会や金融庁による監査事務所のレビューや検査についても、当然、報告書は作成されていると思いますが、そのまま外部に公表されることはありません。ただし、金融庁が監査事務所を処分する場合には、事務所全体の品質管理も含め、不備事項をこれでもかというぐらいに詰め込んだ文書が公表されます。
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