中古車販売のガリバーを運営するIDOM(東証プライム)と、同業大手のグッドスピードの2社に、金融庁が立ち入り検査しているという記事。
保険金水増し請求などの疑惑があるそうです。
「2社をめぐっては、旧ビッグモーター(現ウィーカーズ)による保険金不正請求問題が顕在化して以降、同様の不正が起きていないか、損害保険各社が2023年夏から独自に調査を進めてきた。
同調査では、2社が事故車の修理費用(保険金)を損保各社に水増し請求している疑いが一部の案件で浮上。旧ビッグモーターのような万単位の件数ではないものの、疑義の解消に向けて、2社と損保各社は1年以上にわたって修理作業の内容や請求書面などを改めて精査している。
一方で調査開始から1年以上が経過しているにもかかわらず、進捗は鈍い。金融庁は契約者保護の観点から、より深度のある実態把握に向けて、立ち入り検査に踏み切ったとみられる。」
それ以外の違反も...
「自動車保険契約の見返りとして、車両の販売価格を割り引くといった保険業法上の違反行為(300条1項5号、特別利益の提供)の疑いも浮上している。」
グッドスピードについては、社内調査委員会の調査範囲が限定的だったことから、損保各社は追加調査や外部の有識者による調査委員会の設置を要請していたそうですが、そうしている間に、会計不正問題(当サイトでも何回か取り上げています)が発覚してしまいます。
「...その最中に金融庁への公益通報によってグッドスピードには「不正会計」疑惑も持ち上がった。納車前の段階にもかかわらず、販売代金を先行して売り上げに計上するという手口で、当時の取締役をはじめとして組織的な関与が強く疑われる事態に陥ったのだ。」
「一連の不祥事による販売の落ち込みや決算修正などの影響で、債務超過に転落。その後、ガソリンスタンドなどを運営する宇佐美鉱油がTOB(株式公開買い付け)を実施したことで、宇佐美の完全子会社となり、2024年8月に上場廃止となっている。そうした不正会計による混乱もあり、保険金不正請求の疑義についての同社や損保による調査は思うように進んでいなかった。」
自動車販売会社や整備工場の保険がらみの不正は、広くまん延しているようです。トヨタ系の販売会社にも検査が入っているそうです。
トヨタ自動車の子会社にも金融庁が立ち入り検査 過去に車両塗装費用などの水増し請求が発覚(東洋経済)
「トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京(東京都港区、佐藤康彦社長)に対して、金融庁が立ち入り検査に入っていることがわかった。」
「トヨタモビリティ東京は、2020年2月に全体の約3割に当たる約70店舗で、2000件を超える車両塗装費用などの水増し請求が発覚。2021年には、国交省関東運輸局の監査によって、検査した計測値を改ざんするといった不正車検も発覚しており、当時の経営陣らが「謝罪会見」を開いている。」
「トヨタモビリティ東京は、トヨタ自動車で唯一の直営販売会社であることから、今後の規制強化に向けて、立ち入り検査による経営実態の把握が必要と判断したとみられる。」
金融庁 トヨタ子会社の自動車販売会社に立ち入り検査(NHK)
「金融庁がトヨタ自動車の子会社の自動車販売会社「トヨタモビリティ東京」に立ち入り検査を行っていることがわかりました。
トヨタモビリティ東京は保険代理店として登録されていて、自動車保険をはじめ損害保険や生命保険などを取り扱っています。
このうち自動車保険について、金融庁は車の損害を調べる査定や保険金の請求が適正に行われていたかなど業務の実態を調べるねらいがあるとみられます。」