仕組み債をめぐる裁判で、販売元の野村証券が、一審で支払いを命じられた賠償額を全額支払う和解に応じていたという記事。
「問題の裁判は、野村から計2億円分の仕組み債を購入した大阪市内の会社社長が損失額など約1億4千万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴。一審は「賭博性が高い商品なのに十分な説明を怠った」として、社長の過失を2割相殺したうえで、野村に約1億1千万円の損害賠償を命じた。
双方ともに控訴したが、昨年12月10日付で和解が成立。・・・
3月の一審判決によると、野村は2006年、社長側に10銘柄の株価に連動する仕組み債を2種類販売。いずれも価格は1億円で、満期の3年間保有すれば年10%超の利子が得られるが、対象銘柄の株価が一つでも基準価格の50%(または65%)を割り込むと損失が発生。基準価格との差が開くほど元本が減り、最悪の場合は全額を失うリスクがあった。」
「・・・一審判決は、これらの仕組み債について「野村や債券の発行体らがどのようにして利益を上げて、支払う利子の資金源を確保しているのか疑問」と商品構造の不透明さも指摘した。」
10%という高い利子には、投資家が債券発行者にオプションを売った(株価変動のリスクを引き受けた)対価が含まれているわけで、それを債券の利子だといって販売するのは、厳しくみれば、不当表示ではないかと思います(形式的には認められるのでしょうが)。
もちろん、投資家側が、デリバティブを取引しているのだということを認識しているのであれば、自己責任かもしれません。
会計的には、この例のような、損失が元本に及ぶような仕組み債は、時価評価するかデリバティブを分離して処理するはずですので、金融商品会計基準を適用しているような企業は、こうした仕組み債には手を出すことがあまりないと思われます。
仕組債(野村証券)
3メガ、デリバティブ損失に特例融資 破綻懸念の中小企業が急増(産経より)
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